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高齢心不全入院患者の体重減少が退院後の死亡のリスクを高める

Digital PR Platform / 2024年8月8日 10時0分

研究内容
 本研究では、入院を要した高齢の心不全患者を対象とした国内15施設を含めた観察研究(FRAGILE-HF試験*3)で得られたデータを解析しました。心不全の診断で入院した65歳以上の患者において、1年前の体重を退院時に問診で確認し、退院時に実際に測定された体重と比較しました。登録された入院患者を2年間追跡調査し、その間に死亡したかどうかを記録し、解析しました。登録された入院患者1,332人(年齢の中央値80歳、男性が58.2%を占める)において、1年間の体重変化は中央値*4で6.9%減少(25、75パーセンタイル値*4はそれぞれ2.4%、11.9%減少)しており、全患者の83%で何らかの体重減少を認めていました。現在、慢性心不全における体重減少の基準値は5%となっています。5%の体重減少を認めた患者と、体重減少が5%未満または減少していない患者を比較したところ、退院後の死亡率には差がありませんでした。ところが、75パーセンタイル値である12%を超える体重減少を認めた患者では、より少ない体重減少または減少していない患者と比較し、死亡率が高いことがわかりました。また、心機能や腎機能などの従来知られている予測因子やがんの既往を差し引いて解析しても、「12%を超える体重減少」という現象は、その患者がその後死亡するリスクを約1.5倍高めることがわかりました。死亡した原因として体重減少を認めた患者に多かったのは心疾患によらない死亡でした。
 以上の結果から、心不全により入院を要した高齢患者において多くの患者が1年前より体重が減少していること、従来の評価基準に加えて退院時と1年前の体重を比較することが、患者の経過予測に重要であることが明らかになりました。

今後の展開
 今回、研究グループは、従来の治療法が必ずしも十分に有効でない高齢の心不全入院患者において、12%を超える体重減少が退院後の死亡率に影響を及ぼすことを明らかにしました。本研究により、多くの患者で体重減少がみられていること、今まで行われていた評価基準に加えて退院時と1年前の体重を比較することが、患者の経過予測に重要であることが明らかになったことから、体重減少の原因を明らかにすることが患者の治療法の選択に役立つ可能性が浮かび上がります。今後、体重減少している心不全入院患者にどのような評価、対策を取るべきか、対策や治療を行った結果がどうなるかを明らかにする研究へと発展することが期待されます。

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