手を振る動き(シェイク運動)が機能回復に及ぼす影響について共同研究を実施
Digital PR Platform / 2024年8月8日 11時50分
<方法・評価>
Aの図のように患者はハンドルバーに手を置き、または握り、装置はテコの原理を利用して振りのような動きを発生させ、患部の手を振ることになります。Bのグラフのように介入群の患者は、自宅で1日3回、1回につき10分間のシェイク運動を毎日おこないました。対照群は、外来リハビリテーションの指導を受けながら、自宅で自己訓練を行いました。両群とも3ヵ月間外来治療を継続し、評価しました。
(図) 麻痺のある被験者の上肢機能に対するシェイク運動と従来の治療法の効果の調べるために計画された本研究の概念図とプロトコル:シェイク運動装置、「健康ゆすり」(JMH100、株式会社トップラン、東京、日本)の改良装置を使用する介入群と従来のリハビリテーションを受ける対照群との比較検討がされました。本研究は12週間にわたって行われました。
【結果】
シェイク運動介入群は対照群に比べ、FMA総得点において有意に大きな改善を示しました。中等度の障害を有する患者が介入から最大の利益を得ていました。痙縮の度合いを評価するMASや関節可動域の測定値に有意な群間差はみられませんでした。シェイク運動介入群では疼痛と手関節ROMに改善がみられました。脳卒中後遺症の中等度慢性麻痺患者において、 シェイク運動を用いた在宅トレーニングが上肢機能を有意に改善しました。
【今後の展開】
我々の今回の研究から解ったことは、脳卒中後遺症である重度中等度の上肢麻痺は、ボツリヌス療法とリハビリテーション治療を継続すると機能改善を認めることはできますが、発症からの時間が経過するなかなか機能改善をすることが困難になってきます。このような状態でありながら、脳卒中後遺症の慢性的な上肢機能障害患者の機能回復を促進するために、シェイク運動装置、「健康ゆすり」を用いた在宅自主トレーニングの使用を支持するエビデンスが得られたことや、これはこれまで報告されていなかった慢性疼痛が軽減した効果も示しました。
介入群におけるFMA-UEスコアの改善はわずかなものでありましたが、対照群と比較して統計学的に有意であり、運動機能のわずかな向上でも、脳卒中生存者のQOLと自立に大きく影響することが示唆されましたので、従来のケア戦略を補う、実行可能で効果的な選択肢を提供するものであり、慢性期脳卒中リハビリテーションの管理に有意義な変化をもたらすと考えます。
今後サンプルサイズを大きくすることにより、脳卒中患者の上肢リハビリテーション治療におけるシェイク運動装置の有効性をより明確にすることにし、ボツリヌス療法を施行していない患者への施行などを含めて、この研究を進めていくことにしています。
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