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腫瘍微小環境内の骨髄前駆細胞が乳癌患者の予後と相関することを発見

Digital PR Platform / 2024年8月22日 10時0分

腫瘍微小環境内の骨髄前駆細胞が乳癌患者の予後と相関することを発見

~乳癌治療の更なる可能性に向けて~


 横浜市立大学医学部消化器・腫瘍外科学の押正徳助教、遠藤格主任教授らの研究グループは、ロズウェルパーク総合がんセンター(米国ニューヨーク州)の高部和明主任教授、東京医科大学乳腺科学分野の呉蓉榕助教、石川孝主任教授らとの共同研究により、乳癌腫瘍微小環境内にごくわずかに存在する骨髄前駆細胞*1を腫瘤の遺伝子発現パターンから同定し(図1)、さらに算出された浸潤割合が乳癌患者の生存率に関係することを証明しました。
 この研究成果は、乳癌の予後予測や治療戦略の向上において新たな示唆を与える可能性があります。
 本研究成果は、「Annals of Surgery」オンライン版に先行公開されました(2024年7月1日)。

研究成果のポイント


遺伝子発現パターンを用いて乳癌内の骨髄前駆細胞数を定量した。
ホルモン陽性乳癌において、骨髄前駆細胞浸潤割合が患者生存率と関連していることを発見した。
本研究成果は、腫瘍内骨髄前駆細胞の定量という乳癌に対する新たな治療戦略を示唆するものである。





[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/93512/550_221_2024082016345966c44723e059e.jpg



図1 乳癌腫瘍微小環境に存在する希少な骨髄前駆細胞の同定


研究背景
 腫瘍微小環境には多種の細胞が存在し、癌の悪化や治療効果に影響を与えていることが知られています。骨髄前駆細胞は、主に骨髄内に存在するものと認識されていましたが、近年、末梢血や腫瘍内にも存在する可能性が示唆されていました。しかし、希少細胞であるため評価が難しいことから、十分に研究が行えていませんでした。そこで、研究グループ は個々の腫瘍における遺伝子発現パターンを解析して、腫瘍内骨髄前駆細胞の浸潤割合を推定するスコアを用いることで、腫瘍内骨髄前駆細胞の臨床的意義を評価しました。

研究内容
 複数の大規模乳癌患者コホートを用いて、遺伝子発現パターンから腫瘍内骨髄前駆細胞の浸潤割合を推定し、臨床的因子との関連を調べたところ、骨髄前駆細胞はホルモン陽性乳癌で浸潤割合が高く、脳転移のリスク並びに患者の良好な予後と関連していました(図2)。また、骨髄前駆細胞の浸潤割合が高い乳癌は、癌自体の上皮間葉転換*2および血管新生経路の活性度が高い一方で、細胞増殖能やDNA修復経路の活性が低いことが示されました。さらに、免疫細胞浸潤割合は低く、細胞溶解活性は減少していました。そして術前化学免疫療法の治療反応とも相関を示しました。

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