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伴侶動物との生活と死亡リスク

Digital PR Platform / 2024年8月26日 11時0分

伴侶動物との生活と死亡リスク

猫、鳥、魚ではなく犬との生活が死亡リスクを抑制

 国立環境研究所環境リスク・健康領域の谷口優主任研究員らの研究チームは、オーストラリアの1万5000人以上を対象とした追跡研究から、伴侶動物※1の中でも犬との生活が人の死亡リスクを抑制していることを明らかにしました。
 この研究により、動物が人にもたらす健康効果に関するエビデンスが蓄積され、人と動物が共生できる社会の仕組みづくりに貢献することが期待されます。
 本研究の成果は、2024年8月14日(日本時間2024年8月15日4時)付でPublic Library of Science社が刊行する学術誌『PLOS ONE』に掲載されました。

1. 研究の背景と目的
ゲノム解析を用いた最新の研究により、1万1000年以上前の氷河期末期に人が伴侶動物(犬)と共生していたことが報告されています。我々の祖先が伴侶動物と共生してきた長い歴史は、人と伴侶動物の双方にメリットがあることを示唆しています。近年、人が伴侶動物から得られるメリットが科学的に証明され、疫学調査に基づいたエビデンスが蓄積されています。発表者らの先行研究では、犬との生活が高齢期のフレイル※2や認知症、自立喪失の発症に対して保護的に作用することを明らかにしてきました。また、犬との生活が死亡に保護的に作用することを示唆する研究が報告されています。しかし、犬以外の伴侶動物を調査し、それぞれの伴侶動物と生活する人がもつ特徴を十分に考慮した上で死亡との関連性を分析した研究は、報告されていませんでした。
そこで、国立環境研究所環境リスク・健康領域の谷口優主任研究員らの研究チームは、犬、猫、鳥、魚、その他の伴侶動物と生活する人の特徴として社会学的要因、身体的要因、心理的要因、社会的要因について15の尺度から評価し、伴侶動物の有無で背景要因の影響を考慮した上で死亡リスクを分析しました。この研究により、伴侶動物が人にもたらす健康効果に関するエビデンスが蓄積され、人と動物が共生できる社会の仕組みづくりに貢献することが期待されます。

2. 研究手法
オーストラリア国民を代表する調査であるThe Household, Income and Labour Dynamics in Australiaの15,735名のデータを用いて、2018年の伴侶動物との生活状況や社会学的状況、身体的状況、心理的状況、社会的状況を収集しました。また、The National Death Index から2022年までの死亡情報を突合しました。統計解析は、伴侶動物(犬、猫、鳥、魚、その他)別に、社会学的要因、身体的要因、心理的要因、社会的要因から算出した傾向性スコア※3を用いた解析モデルにより全死亡発生リスクを算出しました。

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