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東京医科大学免疫学分野の横須賀忠主任教授ら研究チーム「免疫チェックポイント分子LAG-3による新たな免疫抑制メカニズムを発見」~ チェックポイント阻害剤抗LAG-3抗体によるがん免疫療法の理解に期待 ~

Digital PR Platform / 2024年8月27日 14時5分


【今後の研究展開および波及効果】
 抗LAG-3抗体が一昨年に難治性のがん患者への治療として米国で承認され、今後、日本でも現在使用されている免疫チェックポイント分子阻害抗体(ICB)との併用療法が現実的になってきました。しかし、LAG-3自身の免疫抑制作用が理解されない状況は抗LAG-3抗体を投与する患者の選定や、複合免疫療法などの可能性を考慮する際の科学的な根拠が欠けているだけでなく、抗体投与によって発生する副作用の予測も十分には行えないことが予想されます。これまで、がん免疫において抗LAG-3抗体はCD8 T細胞を活性化することでがんの縮小に繋がると考えられてきましたが、本研究結果から、CD8 T細胞だけでなくCD4 T細胞の活性化も誘導できる可能性が示されました。これらの結果は、抗PD-1抗体およびそれ以外のICBや化学療法を併用する際の選定の一助となり、またCD4 T細胞による炎症が副作用として発生する可能性を事前に考慮する根拠となることが予想されます。それにより、今後、抗LAG-3抗体をがん患者に使用する際に、より効率的かつ安全性の高い投与法の開発に繋がることが期待されます。

【語句説明】
*トランスエンドサイトーシス
一般に、ある細胞が受容体などを介して、相手方の細胞の一部を含めてかじり取る機構を示す。貪食様式の1つであり、トロゴサイトーシスとも呼ばれる。赤痢アメーバが腸管上皮をかじり取り、病状の悪化に繋がる現象がよく知られており、単細胞生物から哺乳動物まで進化的に広く保存されている。免疫細胞でも頻繁に使われ、奪い取った分子を自分の細胞表面に発現し新たな機能を獲得したり、制御性T細胞が免疫チェックポイント分子CTLA-4を介して抗原提示細胞からリガンドCD80/CD86を奪い取り、免疫機能が低下したりする例が知られている。

【掲載誌名・DOI】
掲載誌名:Cell reports
DOI:10.1016/j.celrep.2024.114655

【論文タイトル】
Indirect suppression of CD4 T-cell activation through LAG-3-mediated trans-endocytosis of MHC class II

【著者】
Ei Wakamatsu*, Hiroaki Machiyama, Hiroko Toyota, Arata Takeuchi, Ryuji Hashimoto, Haruo Kozono, Tadashi Yokosuka*
(*責任著者)

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