魚にとっても人にとっても理想的な河川環境づくりへ。地域・行政の協働が鍵を握る<東洋大学SDGs NewsLetter Vol.30>
Digital PR Platform / 2024年8月29日 16時0分
現地水路に設置した魚道
──持続可能なより良い河川環境を実現するために必要なことについて教えてください。
生態系の保全はもちろん、河川を利用する人々の安心安全にも考慮した空間をつくることが重要であると考えます。しかし、日本の全ての河川に河川管理や水辺保全が行き届いているわけではありません。基本的に行政が河川法に基づいて管理を行いますが、予算規模に応じて、公共の安全を第一とした治水対策しかできないのが実情です。
より良い河川環境づくりに向けて、まずは興味を持つことが第一歩です。土木学会では「市民普請」というキーワードを用いて、市民主導の公共的な取り組みを推進しています。河川環境の分野でも同様に、住民が関心を持ち、行政に働きかけていくことで河川環境の改善につながることもあるでしょう。実際、滋賀県農村地域の住民組織から「かつて集落内に生息していたアユを取り戻したい」という要望があり、研究室の学生達と集落に接続される水路に簡易的な魚道を設置するプロジェクトを進めています。設置後の管理や修繕、他の水路への拡大を地域住民のみでも行えるように、ホームセンターで買えるものを材料として魚道を作製しました。実験室とは違って、現地では大雨や日照りによって水量が日々変化します。その場で臨機応変に対応する難しさにも直面しましたが、開始から4年ほど経った今でも、学生たちと意思疎通を図りながらブラッシュアップを重ねています。
──住民一人ひとりの心がけや行動の他に、重要なポイントはありますか。
地域と行政の連携強化も肝要です。行政は河川の氾濫を起こさないことを第一の目的としているため、治水対策に重点を置いています。一方で地域住民の中には「生物がたくさんいる川」や「子どもが遊べる川」などを望み、水質やにおいなど河川環境の改善を重要視する人もいます。特に都道府県が管理するような都市河川で、全国的に地域と行政の連携が広がっていけば、双方の要望を上手く取り入れた施策が実行できるのではないでしょうか。
私自身も埼玉県主導のプロジェクト「Next川の再生in越戸川」で、地域・行政と連携し、河川整備における落差工の改修に合わせた魚道の設置に向けて意見を出してきました。同プロジェクトは地域住民から1.5mほどの落差に、魚道をつくれないかという相談を受けたことに端を発します。当初は雨樋いを使った、取り外し可能で簡素な魚道を設置したのみでしたが、稚アユの遡上を皮切りに、落差工の改修計画に合わせた魚道の設置が現実味を帯びてきました。何年か活動する中で他にもいくつか要望をいただき、結果として地域と行政、そして我々の研究室との連携が実現し、それぞれが望む河川環境づくりにつながったと思います。
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