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パーキンソン病と尿酸および エネルギー代謝障害の関係を示す新たな発見

Digital PR Platform / 2024年9月10日 11時48分

パーキンソン病と尿酸および エネルギー代謝障害の関係を示す新たな発見

藤田医科大学 脳神経内科学 渡辺宏久教授、水谷泰彰准教授、島さゆり講師、医用データ科学 吉本潤一郎教授、オープンファシリティーセンター 前田康博准教授らの研究グループは、パーキンソン病の病態と尿酸およびエネルギー代謝の関係に着目。この結果、パーキンソン病患者における血清および脳脊髄液中の尿酸レベルの低下と、プリン代謝異常を発見しました。
この発見は、パーキンソン病におけるエネルギー代謝の理解を深め、新たな治療法の開発に貢献する可能性があります。
本研究成果は、米国の学術ジャーナル「npj Parkinson's Disease」オンライン版で2024年9月9日に公開されました。
論文URL : https://www.nature.com/articles/s41531-024-00785-0

<研究成果のポイント>


パーキンソン病患者は健康な人よりも血液中と脳脊髄液中の尿酸レベルが低く、エネルギー産生にかかわるプリン代謝にも異常があることを発見
これまで病気の進行や症状の悪化に関連するとされていた尿酸の低下は直接的な病因でよりむしろ、体重・性別・年齢といった外的要因の影響が大きいことを明らかに
ヒトの細胞がエネルギーを使うための燃料であるATP (アデノシン三リン酸) のリサイクルシステムが障害されており、その修復が治療となる可能性を示しました



<背 景>

パーキンソン病は、世界で2番目に多い神経変性疾患です。これまで、パーキンソン病では血清尿酸値の低下を高率に認めることが知られていました。尿酸は抗酸化作用を有するため、尿酸の低下は酸化ストレスを高め、結果としてドパミンを作る中脳の黒質神経細胞を喪失させる可能性があると考えられていました。しかし、イノシンという物質を加えて尿酸を上昇させても疾患の進行は抑制できませんでした。
このため、尿酸はなぜ低下するのか、尿酸低下の意義は何か、また尿酸の代謝の上流にあたり、細胞のエネルギー代謝に不可欠な分子であるATPを構成する重要な成分であるプリン体の代謝物は、どのようになっているのかが大きな疑問になっていました。



<研究手法・研究成果>


本研究では、パーキンソン病患者と健康な対照者の血清および脳脊髄液中の尿酸、尿酸の上流にあたるプリン代謝物質であるイノシン、ヒポキサンチン※1、キサンチンのレベルを比較しました。その結果、パーキンソン病患者では血清と脳脊髄液中の尿酸レベルが低下していることを確認しました。さらに数理モデルと呼ばれる先端的な解析により、尿酸の低下は主に体重、性別、年齢といった外的要因の影響を受けることが示されました。これにより、パーキンソン病では、体重、性別、年齢、すなわちエネルギー代謝障害や運動不足などが尿酸の低下と関連している可能性が示唆されました。
また、パーキンソン病患者は、血清中のヒポキサンチンと脳脊髄液中のイノシンとヒポキサンチンのレベルも低下していることが示されました。その意義を考えるため、イノシンおよびヒポキサンチンとATPとの関係を検討しました(下記図)。

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