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世界初!卵子にDNA溶液を注入することで人工細胞核の構築に成功 細胞核の機能獲得メカニズムの一端を明らかに

Digital PR Platform / 2024年9月13日 20時5分

※図3

(4)人工細胞核における物質輸送能力の評価
最後に、作製した人工細胞核が核輸送能力を持っているか確認するために、蛍光タンパク質を付加した核局在化シグナル(NLS)※7 が人工細胞核に入るかどうかを観察しました。その結果、蛍光タンパク質が人工細胞核内に流入することが確認されました。この蛍光タンパク質が取り込まれた人工細胞核に対して、核輸送阻害剤であるimportazoleを添加したところ、蛍光タンパク質が流出することが観察されました(図4上段)。さらに、核輸送に関与する因子として知られるRanというタンパク質が人工細胞核に存在していたことから(図4下段)、研究グループは、核輸送能力を有する人工細胞核を構築できたと結論づけました。

※図4

【研究代表者のコメント】
山縣一夫(やまがたかずお)
所属  :近畿大学生物理工学部 遺伝子工学科
     近畿大学大学院生物理工学研究科
職位  :教授
学位  :博士(農学)
コメント:本研究では、マウス卵子内に導入するDNAの長さ、濃度、注入タイミングを調整することで、卵子由来の天然の細胞核と酷似した構造を持ち、かつ核輸送能を持つ人工細胞核を再構築することに成功しました。しかしながら、作製した人工細胞核では、転写やDNA複製が行われているかはわかっておらず、ましてや分裂をさせることにも成功していません。完全な細胞核を作製するためには、今後のさらなる検証が必要になりますが、これらの試みを地道に繰り返すことで、細胞核の構築原理の定性的・定量的な解明に結び付くと考えています。また、細胞核の機能を完全に再現できる人工細胞核を作製することができれば、例えば絶滅動物などのゲノムDNAを試験管内で人工的に合成し、近縁種の卵子に注入すれば絶滅動物の復活が望める可能性があります。

【用語解説】
※1 DNAビーズ:DNAを結合させた微小ビーズ。本研究で使用しているDNAビーズは、直径およそ3µmの磁気ビーズの周りに、長さ8kbpほどの直鎖化したプラスミドDNAを付着させたもの。
※2 ライブセルイメージング:緑色蛍光タンパク質などを用いて、細胞内におけるタンパク質や構造を生きたまま連続的にタイムラプス観察をする手法。本研究では、ヒストンタンパク質を赤色に染めることで細胞核を可視化している。
※3 核膜孔複合体:核と細胞質との間の物質輸送を媒介する、巨大なタンパク質複合体。
※4 ヌクレオソーム構造:細胞核野中で、DNAはヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付いて存在しており、その構造をヌクレオソームという。ヒストンタンパク質である、4種類のコアヒストン(ヒストンH2A、H2B、H3、H4)から構成される、ヒストン8量体に146bpのDNAが巻き付いている。
※5 kbp(キロベースペア):DNAは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)という4つの塩基対(base pair:bp)から構成されており、kbpは、この塩基対がおよそ1,000個つながった長さを示す。
※6 免疫蛍光法:色素のついた抗体を用いて、細胞内における目的のタンパク質の局在を調べる方法。
※7 核局在化シグナル(NLS):タンパク質を細胞質から核内へと移行するために必要なアミノ酸配列。

【関連リンク】
生物理工学部 遺伝子工学科 教授 山縣一夫(ヤマガタカズオ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/1365-yamagata-kazuo.html

生物理工学部
https://www.kindai.ac.jp/bost/

▼本件に関する問い合わせ先
広報室
住所:〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1
TEL:06‐4307‐3007
FAX:06‐6727‐5288
メール:koho@kindai.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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