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前立腺がんの有無による腸内細菌の違いを発見 腸内細菌から前立腺がんのリスクを予測する手法の開発等に貢献

Digital PR Platform / 2024年9月26日 20時5分

【論文概要】
掲載誌:The Prostate(インパクトファクター:2.6@2023)
論文名:A cross-species analysis of fecal microbiomes in humans and mice reveals similarities
    and dissimilarities associated with prostate cancer risk
    (ヒトとマウスの腸内細菌叢の解析から前立腺がんのリスクに関連する
     共通点や相違点の探索)
著者 :若森千怜1,2,*、デベラスコ・マルコ1,3,*、坂井和子3、倉由吏恵3、松下慎4、
    藤本西蔵1、波多野浩士4、野々村祝夫4、藤田和利1、西尾和人3、植村天受1
    *共同責任著者
所属 :1 近畿大学医学部泌尿器科学教室、2 近畿大学医学部医学科、
    3 近畿大学医学部ゲノム生物学教室、4 大阪大学大学院医学系研究科泌尿器科
DOI  :10.1002/pros.24776
URL  :https://doi.org/10.1002/pros.24776

【論文の詳細】
研究グループは、遺伝子を改変した前立腺がんのモデルマウスと、前立腺がんを発症しない野生型マウス、そして、前立腺の生体検査で前立腺がんの進展リスクが高いと診断されたヒト(点数が高いほど悪性とされるグリーソンスコア※1が2点以上)、前立腺がんの発症や進展リスクが低いと診断されたヒト(グリーソンスコアが2点未満)から採取した糞便を用いて、マウスとヒトで種を超えた腸内細菌叢の比較検討試験を行いました。
糞便中の16s rRNA解析※2から、機能的解析およびメタゲノム解析※3を行うことで、マウスとヒトの両方において、前立腺がんの有無で腸内細菌叢の組成に違いがあることが示されました。また、どのような腸内細菌が存在するか解析した結果、マウスとヒトで比較すると、分類階級※4のうち科のレベルでは約33%、属レベルでは約19%の腸内細菌が共通しており、機能的には約80%の腸内細菌が共通していることも明らかにしました。
また、前立腺がんの有無で発現が異なる遺伝子を解析したところ、マウスおよびヒトで前立腺がんに特異的な代謝経路の存在が明らかになりました。特に、葉酸の生合成、ユビキノン※5および他のテルペノイド※6-ユビキノン生合成を含む補酵素およびビタミンの代謝経路に関する遺伝子発現が、マウスとヒトの両方で前立腺がん特異的に上昇しており、前立腺がんにはこれらの代謝経路が関係していることが示唆されました。また、アミノ酸代謝に関連するいくつかの代謝経路が、野生型マウス、発症リスクが低い群のヒトに関連していることも明らかになりました。
本研究成果により、マウスとヒトの両方の腸内細菌叢解析の結果から、腸内細菌と前立腺がんとの関連を確認できました。また、葉酸やビタミンEなど腸内細菌由来の代謝産物が、前立腺がんの促進因子である可能性を示唆する新たなデータも得られました。本研究は、モデルマウスがヒトの前立腺がんと腸内細菌叢の関連を分析するうえで有用であるというデータを示し、前立腺がんについてより深い知見を得ることを可能にすると考えられます。

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