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光合成微生物シアノバクテリアの新規の環境ストレス順応応答の発見〜限りあるリン資源を有効活用する持続的な物質生産への応用に期待

Digital PR Platform / 2024年10月1日 14時5分


【研究の背景】
 リン(P)は遺伝情報をもつ核酸やエネルギー通貨であるATP等,重要な生体物質の構成元素です.光合成微生物はリン酸塩等,安価な無機塩を栄養源とし,かつバイオマス生産性が高いため,経済的な有用物質生産への利用が期待されます.しかし,リン酸塩の原料となるリン鉱石は採石が進み,近い将来,枯渇すると予測されます.このため,光合成微生物の持続可能な産業利用にはP資源の効率的な活用が必要です.光合成生物ではP欠乏(-P)条件下,生体内でP化合物が必要度の低いものから高いものへと作り変えられ,それにより生育が維持されます.これは生育に必要な生体のP量(P quota)の低下,即ちPの利用効率(PUE)の向上をもたらします.一方,光合成微生物は硫黄(S)欠乏等の栄養ストレス下,リン酸の重合体であるポリリン酸(polyP)を大量に蓄積するため,そのpolyP蓄積をリンの回収・資源化へ利用する研究がなされています.遺伝子操作が容易な単細胞シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803では,有用物質生産のための遺伝子改変研究が盛んです.私たちはPUEや外界Pの細胞内取り込み・蓄積能の増強を目標としてSynechocystisの野生株やポリリン酸合成酵素であるpolyP kinase 1の遺伝子(ppk1)の欠損変異株(Δppk1)について,環境ストレスへの応答を研究しました.


【発表論文】
1. Hiyoshi T, Haga M, Sato N*. (2024) Preferential phosphatidylglycerol synthesis via phosphorus supply through rRNA degradation in the cyanobacterium, Synechocystis sp. PCC 6803, under phosphate-starved conditions. Front Plant Sci. 15:1335085.

2. Sato N*, Endo M, Nishi H, Fujiwara S, Tsuzuki M. (2024) Polyphosphate-kinase-1 dependent polyphosphate hyperaccumulation for acclimation to nutrient loss in the cyanobacterium, Synechocystis sp. PCC 6803. Front Plant Sci. 15:1441626.
(*は責任著者)

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