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地元企業・団体も巻き込んだ公民連携の取り組みで持続可能な地域づくりへ<東洋大学SDGs NewsLetter Vol.31>

Digital PR Platform / 2024年10月15日 12時0分




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大学と包括連携協定を結んだ若狭町での視察の様子

地域経済も視野に入れて、社会的な価値創造を目指す

──日本のPPPにおける課題についてお聞かせください。

政府はPPPについてアクションプランを出しており、その中で掲げているのが「コストダウン経済からの脱却」です。これまでの日本はより安く公共事業を行うことに主眼を置いていました。しかし、人口減少局面に入り、量的な発展を見込みにくい今後の日本においてはインフレが進んだ現在、ただ費用を安くするだけでは問題解決にならず、PPPを通じていかに新たな価値を生み出せるかという点が課題として挙げられます。例えば、コストダウンの観点から施設ごとに進めていた事業を集約し、従来とは異なるやり方で付加価値を高めた地域づくりを模索するなど、まだまだ議論の余地があると考えます。また、PPPに対する意欲が高い自治体・企業もあれば、そうでないところも当然あります。現状、PPPの普及にあたっては勉強会などを通した啓発が一般的なアプローチです。しかし、そもそも企業の規模・体質によっては、長期契約や複雑な事業を伴うPPPに参画するのが現実的に難しい場合があります。

──海外事例の中で、日本が参考にできる取り組みはありますか。

国内外で実施されている多様なPPPのうち、日本が目指すべきモデルとして注目しているのが、2017年にウェールズで発表された「MIM (Mutual Investment Model)」です。PPPは複雑な事業が多く、全国規模の大企業が参画するケースも珍しくありません。しかし、その際に地域のインフラ整備を担っていた地元の中小企業が締め出され、地場産業が衰退してしまうことも考えられます。そこでコスト・合理性を追求するだけでなく、地域経済などの要素も視野に入れて社会的な価値創造を目指す仕組みがMIMと呼ばれています。例えば、大企業とは長期契約の上流工程、地元の中小企業とは短期契約の実務で、PPPの枠組みにうまく組み入れられるでしょう。地域のインフラを守り、全員が「稼げる」仕組みを構築できれば、日本の社会問題をの解決できるにつながるはずです。

こうした文脈で考えたとき、SDGsのゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」は非常に画期的です。日本が国家主導のトップダウンだけで施策を進めてもSDGsは達成できず、自治体や地域住民からのボトムアップが欠かせません。全てのステークホルダーが一体となって目標に向かう姿勢は、PPPにも通じる部分だと思います。

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