外部磁場を必要としない新型超伝導磁束量子ビットを世界で初めて実現 ~量子コンピュータの小型化に貢献する素子応用を拓く~
Digital PR Platform / 2024年10月15日 14時4分
なお、本研究の一部は、科学技術振興機構 JST-CREST 「超伝導量子メタマテリアルの創成と制御」(研究課題番号: JPMJCR1775、研究代表者: 仙場 浩一)、科研費(JP19H05615)、JST ERATO(JPMJER1601)と一部MEXT Quantum Leap Flagship Programs(JPMXS0120319794とJPMXS 0118068682)の助成を受けて行われました。
<用語解説>
*1 超伝導磁束量子ビット
量子ビット(量子コンピュータで使われる量子情報を扱う基本素子)の一種で、ジョセフソン接合*3を含む超伝導ループから構成される。0と1の重ね合わせの状態は、磁束で誘導される超伝導ループ内の永久電流(例えば、右回りの電流を0状態としたら、左回りの電流は1状態を表す。)によって実現される。
*2 π接合
π接合は超伝導体(S)間に強磁性体(F)を挟んだ構造を持つ特殊なジョセフソン接合*3で、ジョセフソン電流バイアスがゼロの時、位相差が通常のジョセフソン接合の0ではなく、180度(π)になることが特徴である。この位相のシフトにより、ジョセフソンπ接合は、超伝導回路や量子ビットに半磁束量子に相当する磁場印加と同じ効果をもたらす。
[画像6]https://digitalpr.jp/simg/2341/96915/250_189_20241015091704670db4801af8e.JPG
*3 ジョセフソン接合
二つの超伝導電極(S)を極薄の絶縁体(I)あるいは常伝導金属薄膜で隔てた構造の接合(ジョセフソン接合)を持つ素子をジョセフソン素子と呼び、超伝導電極間のトンネル効果によって電気抵抗ゼロ(ゼロ電圧)の電流(ジョセフソン電流IS )が流れる。このジョセフソン電流の大きさは、両超伝導電極の巨視的位相の差(ϕ )によって決まるため(直流ジョセフソン効果)、逆に、ジョセフソン素子にどれだけ電流を流すかで超伝導電極間の巨視的位相を制御することができる。超伝導量子ビットを始めとする多くの超伝導デバイスは、このジョセフソン素子による巨視的位相制御を基本動作原理としている。
[画像7]https://digitalpr.jp/simg/2341/96915/250_182_20241015091704670db4804b798.JPG
*4 非調和性
超伝導量子ビットの基底状態と励起状態のエネルギー差が次のエネルギー準位と異なるという性質のこと。基底状態|0>と第一励起状態|1>のエネルギー差(E01)と次のエネルギー準位|2>間のエネルギー差(E12)の違い(E12-E01)を表す。
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