植物の精細胞を覆う膜の統一名称を決定
Digital PR Platform / 2024年10月17日 14時0分
今後の展開
一部の研究者からはすでに教科書や論文で新名称を紹介したいという要望が出ており、peri-germ cell membraneという用語は速やかに世界に波及するでしょう。これまで問題だった呼称の混乱も解消し、今回の成果が植物科学の教育や研究に与える影響は小さくありません。精細胞と栄養細胞の境界に位置するインターフェースとして、peri-germ cell membraneは核酸やタンパク質の輸送や、花粉管における精細胞の先端輸送、精細胞の活性化などさまざまな受精過程に働くと推測されています。現時点でそれらは未解明ですが、名称統一を契機に新規参入する研究者が増えることで今後の研究の加速が期待されます。
イチョウやソテツの精子発見に象徴されるように、日本は植物生殖分野において重要な役割を果たしてきました[11,12]。本成果でも、国内外の多様な研究機関に属する日本人研究者が数多く名を連ねています。その背景には、母国語で教育や研究ができるように専門用語を整備し、先端の科学コミュニティを維持してきた我が国の学術的蓄積があります。精細胞を覆う膜にも内部(原)形質膜という日本語の呼称がありました。今後、原形質膜の意を含まずにperi-germ cell membraneと対応する日本語の新名称が専門家の協議で定められる予定です。新名称の発表を機に、先人達の築いてきた植物科学の価値や魅力が伝わることを願います。
研究費
本研究は、JSPS科研費(JP20H05778, JP20H05781, JP23K14214, JP24KJ0184)、ながひさ科学振興財団研究奨励金(G2023-01)、French National Research Agency(ANR-19-CE20-0012)、Sélection Végétale Avancée research program、National Research Agency France 2030 program、Association Nationale de la Recherche Technique (ANRT) PhD特別研究員制度(no. 2023/1284)の支援を受けて実施されました。
論文情報
タイトル: The peri-germ cell membrane: poorly characterized but key interface
for plant reproduction(日本語訳:Peri-germ cell membrane: 謎多き植物生殖のキーインターフェース)
著者: Naoya Sugi, Andrea R. M. Calhau, Nathanaël M. A. Jacquier, Marina Millan-Blanquez, Jörg D. Becker, Kevin Begcy, Frédéric Berger, Cécile Bousquet-Antonelli, Daniel Bouyer, Giampiero Cai, Alice Y. Cheung, Sílvia Coimbra, Philipp Denninger, Thomas Dresselhaus, José A. Feijó, John E. Fowler, Danny Geelen, Ueli Grossniklaus, Tetsuya Higashiyama, David Honys, Tomoko Igawa, Gwyneth Ingram, Yvon Jaillais, Mark A. Johnson, Mariko Kato, Miki Kawachi, Tomokazu Kawashima, Yu-Jin Kim, Hong-Ju Li, Sébastien Mongrand, Kazuki Motomura, Shiori Nagahara, Kohdai P. Nakajima, Brad Nelms, Li-Jia Qu, Arp Schnittger, Stefan Scholten, Stefanie Sprunck, Meng-Xiang Sun, David Twell, Dolf Weijers, Wei-Cai Yang, Daisuke Maruyama, Thomas Widiez
掲載雑誌: Nature Plants
DOI:https://doi.org/10.1038/s41477-024-01818-5
[画像4]https://digitalpr.jp/simg/1706/97072/150_117_2024101710442167106bf5034bc.png
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