【パスタコムギvsパンコムギ】進化過程を解明
Digital PR Platform / 2024年10月21日 14時30分
研究手法と成果
江副基礎科学特別研究員らはこれまで、異質倍数化などのイベントで遺伝子が増えた際に、イベントによって機能が変化する遺伝子が異なることを、モデル植物などで明らかにしてきました注)。従来、異質倍数化は何回生じても、それぞれの結果は同じだと考えられていましたが、この先行研究の結果から、1回目と2回目の異質倍数化では、遺伝子の機能多様性への影響が異なる可能性が示唆されていました。
今回、パスタコムギとパンコムギの異質倍数化イベントに着目し、1回目と2回目の異質倍数化の違いを調べたところ、1回目の異質倍数化によって、遺伝子の機能がより大きな変化を起こしており、それぞれでその対象となる遺伝子が異なっていました(図1上)。特に、パスタコムギの異質倍数化イベントが、遺伝子の機能多様性に、より大きな影響を与えたことが示唆されました(図1下)。また、興味深いことに、1回目の異質倍数化の後に機能が変化した遺伝子を詳しく調べたところ、全く異なる種である異質四倍体のワタ(綿)で、異質倍数化後に機能が変化した遺伝子と同じ傾向があることが分かりました。この結果は、安定的な二倍体から四倍体になる際には、同じ遺伝子に機能の変化が必要である可能性を示唆しています。そして、これらの遺伝子は、異質四倍体の確立に重要である可能性があります。
[画像2]https://digitalpr.jp/simg/1706/97178/450_497_202410211002436715a833c2cc3.jpg
図1 パスタコムギとパンコムギの進化と遺伝子機能多様性への影響
上:パンコムギとパスタコムギが進化過程で経験した異質倍数化イベント。パンコムギとパスタコムギの異質倍数化に関わったこれら5種のコムギのゲノム情報が最近明らかになっていた。
下:2回の異質倍数化イベントの機能多様性への影響は、1回目の異質四倍体化の方が2回目の異質六倍体化の方よりも大きい。
注)Akihiro Ezoe,Kazumasa Shirai,Kousuke Hanada. Degree of Functional Divergence in Duplicates Is Associated with Distinct Roles in Plant Evolution. Molecular Biology and Evolution, Volume 38, Issue 4, April 2021.
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