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細胞膜リン脂質の分布を制御する新しいメカニズムを発見

Digital PR Platform / 2024年10月30日 15時0分

細胞膜リン脂質の分布を制御する新しいメカニズムを発見

-膜の変形を感知する脂質輸送分子の変異による神経疾患の治療へ道-

研究成果のポイント

細胞膜の変形を感知し、細胞膜脂質の非対称分布を制御する脂質輸送分子TMEM63Bを発見
TMEM63Bの構造解析により、膜の変形感知メカニズムと膜脂質輸送メカニズムを解明
TMEM63Bの病原性変異が神経疾患を引き起こす仕組みを解明











概要


[画像1]https://digitalpr.jp/table_img/1706/97846/97846_web_1.png
*2024年10月1日に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合し、東京科学大学(Science Tokyo)となりました。



[画像2]https://digitalpr.jp/simg/1706/97846/550_369_20241028153226671f2ffa319cd.jpg


図1 膜構造応答性スクランブラーゼ: TMEM63B

研究背景









 哺乳動物細胞の細胞膜は非対称に分布するリン脂質二重層で構成されています。この細胞膜リン脂質の非対称性は、真核細胞に保存された根幹的な膜の構造様式であり、細胞表面の外葉にはホスファチジルコリン(PC)とスフィンゴミエリン(SM)が豊富に存在します。細胞に最も豊富に存在するリン脂質であるPCとSMは、細胞膜の物性やバリア機能に重要な役割を担っていますが、これらの分布がどのように制御されているのかは明らかではありませんでした。さらに、細胞膜は膜の物性や構造が変化するさまざまな刺激にさらされていますが、それらの局面で細胞がどうように応答するのかという問題も残されていました。

研究内容
 研究チームはこれまでにフリッパーゼ(用語5)とよばれるタンパク質の変異が細胞膜のPC動態に異常に引き起こすことでヒトにおける神経学的退行を引き起こすことを報告しました。本研究ではこのフリッパーゼの変異体を用いたゲノムワイドスクリーニングにより、細胞膜PCの動態を変化させる分子としてTMEM63Bを同定しました。細胞を用いた解析の結果、TMEM63Bが膜の厚さや曲率の変化に応答し、細胞膜リン脂質を双方向に輸送するスクランブラーゼとして機能することを見出しました。実際に、TMEM63Bを欠損した血球系細胞の細胞膜ではPCが顕著に減少し、代わりにSMが増加していることを確認しました。これはTMEM63Bが細胞膜のPCとSMの分布を制御していることを示しています。また、これまでTMEM63Bの点変異がヒトにおいて神経変性を伴うてんかん性脳症を引き起こすことが報告されており、このTMEM63Bの病原性変異体が構成的に活性化し、細胞膜リン脂質の非対称性を崩壊させていることも見出しました。さらに、クライオ電子顕微鏡(用語6)を用いた解析によって、TMEM63Bの閉構造と開構造を決定し、TMEM63Bが膜変形を感知して脂質を輸送する仕組みを明らかにしました。

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