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細胞膜リン脂質の分布を制御する新しいメカニズムを発見

Digital PR Platform / 2024年10月30日 15時0分


社会的インパクト
 本研究は、細胞膜脂質の非対称性という細胞生物学の普遍的な現象に関する重要な知見を与えただけでなく、“細胞がどのように膜の変形に応答するのか”という根幹的な問いにも大きく影響を与えるものである。またTMEM63Bの点変異が引き起こす重篤な神経疾患の病態解明や、治療法の開発にも貢献することが期待されます。

今後の展開
 今後TMEM63Bの生体における生理機能、TMEM63B病原性変異の病態解明、またTMEM63B病原性変異体の阻害剤の同定など、基礎研究から臨床研究へと発展することが期待されます。

付記
 本研究は科学研究費助成事業、日本医療研究開発機構、共同研究拠点事業、大隅基礎科学創成財団、東レ科学振興会、武田科学振興財団などの助成を受けて行われました。

用語説明
(1) 細胞膜:細胞を外部環境から守る薄い膜。主にリン脂質二重層で構成される。細胞に必要な物質を出入りさせ、細胞内や外部への情報伝達にも重要。
(2) ホスファチジルコリン(PC):細胞を構成する主要なリン脂質。リン脂質の中で最も量が豊富であり、生体膜の形成に必須の分子。
(3) スフィンゴミエリン(SM):スフィンゴ脂質の一種で、細胞膜の外層に豊富に存在する。細胞膜の物性やバリア機能に重要な役割を担う。
(4) スクランブラーゼ:細胞膜のリン脂質を双方向にランダムに輸送する膜タンパク質。
(5) フリッパーゼ:細胞膜のリン脂質を外層から内層に輸送する膜タンパク質。主にホスファチジルセリンを輸送する。
(6) クライオ電子顕微鏡:タンパク質を液体窒素で冷却した状態で観察することで、タンパク質の立体構造を高解像度で決定するための装置。

論文情報
掲載誌:Nature Structural & Molecular Biology
論文タイトル:Membrane structure-responsive lipid scrambling by TMEM63B to control plasma membrane lipid distribution
著者: Yugo Miyata, Katsuya Takahashi, Yongchan Lee, Cheryl. S. Sultan, Risa Kuribayashi, Masatomo Takahashi, Kosuke Hata, Takeshi Bamba, Yoshihiro Izumi, Kehong Liu, Tomoko Uemura, Norimichi Nomura, So Iwata, Shigekazu Nagata, Tomohiro Nishizawa, Katsumori Segawa
DOI: https://doi.org/10.1038/s41594-024-01411-6

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