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第18回「平塚らいてう賞」受賞者を決定 -- 計8件の応募より4件(顕彰1件、奨励2件、特別1件)を選出 --

Digital PR Platform / 2024年11月1日 14時5分


[奨励] 
久保田茉莉 氏(日本体育大学 体育学部体育学科 特任助教)
研究・活動テーマ:「人間の尊厳とジェンダー平等に基づく新たな性売買規制の模索」
受賞理由:
 久保田茉莉氏の研究は、個人の自由との齟齬を来さない性売買規制のあり方を探求するため、2016年に買春処罰法を成立させたフランスでの議論を分析するものである。性売買は売る側の圧倒的多数は女性、買う側は男性という構造を持つが、その背景として女性が貧困に陥りやすい環境や、男性の買春行為に比較的寛容な風潮があることが指摘されてきた。しかし近年、買春行為を性暴力ととらえ、買う側と業者とを罰し、売る側を保護する法律の制定が国際的潮流となっている。久保田氏は、日本がこの潮流に応じ、売る側のみに罰則を与える売春防止法にかわる性売買規制を構築するための学術的サポートを目指している。このうち規制強化反対論につながる当事者の自己決定権主張の扱いについて、久保田氏はすでに、フランスにおける軍隊への女性参入を肯定する議論の妥当性を論ずることを通じて、自己の尊厳を傷つけるような結果をもたらす自己決定は、人間の尊厳を重んじる立場から自己決定権の行使とは言えないということを明らかにしており、その成果を本研究に活かすことができると考えられる。このような性売買規制を人間の尊厳とジェンダー平等に基づいて模索しようとするという久保田氏の試みが、フランスの事例分析にとどまらず、日本の性売買規制をめぐる議論に示唆を与えるものとなることを期待したい。


[奨励]
聶 逸君 氏(日本女子大学 人間社会研究科社会福祉学専攻 博士後期課程)
研究・活動テーマ:「女性の就業行動は女性と子ども生活安定性への影響」
受賞理由:
 聶逸君氏の研究は、日本における女性の就業パターンを分析し、特に女性の出産後の再就職、転職行動を調査し、その行動が、女性や子どもの生活の安定性にどのように影響するかを明らかにするものである。その点で、現テーマの文言では内容が分かりにくく「女性の就業行動による女性生活安定性への影響」といった表現にするとよいと思われる。
 女性が、出産によって離職、転職などを余儀なくされ、本人のみならず子どもに不安定な立場を与える状態等を追跡したパネルデータをコーホート別に研究したものは、テーマに記される影響の分析にとどまるものではない。研究を通し、現状の問題点を明らかにした上で、労働市場政策において、子育て中の女性の安定した雇用環境に必要な支援を提供する社会的意義までを担うことを目指す姿勢は評価できる。それはまた男女共同参画の実現に必要なデータ分析ともなり得るであろう。その成果を上げるためには、より精度の高い調査、分析が必要であり、今後の研究に期待するところである。

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