デロイト トーマツが、創薬分野での量子コンピュータ実用化時期の見極めと早期化に向けて実証を開始、新薬開発の知見を有する中外製薬と連携
Digital PR Platform / 2024年11月19日 14時52分
誤り耐性量子コンピュータ時代の薬物と標的タンパク質の結合シミュレーションを想定したアルゴリズム検証およびソフトウェア技術開発を推進
デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:木村研一、以下「デロイト トーマツ」)は、新しい未来を創る技術と期待される量子コンピュータで日本の産業・企業が優位性を築くためには、特定用途に紐づいた実用化のタイミングを見極めることが不可欠と考えています。この考えの下、今般、中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修、以下「中外製薬」)の協力を得て、量子コンピュータの社会実装が望まれている創薬分野で、合理的な薬物デザインへの量子コンピュータ適用に向けた実証を開始しています。
この合理的な薬物デザインでは、コンピュータ上で薬物の作用を原子レベルで再現し、そのシミュレーション結果に基づいて新しい薬を設計します。本実証を通じて合理的な薬物デザインにおける具体的なユースケースやアルゴリズムを想定し将来必要になる量子ビット数*1、量子ゲート数*2といったハードウェアリソースの推定と、ハードウェアの開発・進化のロードマップを組み合わせ、実用化の時期の見極めと早期化に向けたソフトウェア技術開発の推進を目指します。
*1 量子ビット:量子コンピュータの基本的な情報単位のこと。従来のコンピュータがビットを0または1の状態で情報を保持するのに対し、量子ビットは量子の重ね合わせの原理により、0と1の状態を同時に保持することができる。量子ビット数が多いほど、その量子コンピュータの処理能力や複雑な問題を解く能力が向上する。
*2 量子ゲート:量子ビットの状態を変化させ、演算操作を行う基本単位で、従来のコンピュータの論理ゲート(AND, OR, NOTなど)に相当。これらを組み合わせて量子回路を構成し、計算を行う。ゲート数が多いほど、より複雑で長い演算が可能となる一方で、エラーが発生する可能性が高まる。
【背景~誤り耐性量子コンピュータ時代への道のり】
量子コンピュータのハードウェアの実用化に向けては、大きな技術課題の一つである誤り訂正について、2023年12月に誤り訂正アルゴリズムの実証が実機で行われるなど様々なブレークスルーが起きています。誤り訂正が当たり前の技術として具備される「誤り耐性量子コンピュータ」(以降、FTQC、Fault Tolerant Quantum Computer)の実現の可能性は高まっています。FTQCは医薬品開発や新材料発見、暗号解読などの分野で、従来のコンピュータでは難しい複雑な問題を効率的に解決できる究極の量子コンピュータとして注目されています。特に、新薬開発においては、病気の原因となっている標的タンパク質などに対する薬物の相互作用強度を精緻に見積もることで、合理的な薬物デザインを可能にして医薬品探索の高速化及び効率化につながることが期待されています。
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