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ベトナムからドクさんが来日 ドキュメンタリー公開に「私の真実の姿を見てほしい」と呼びかけ、平和を訴える

映画.com / 2024年4月11日 19時0分

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 ベトナム戦争で使用された枯葉剤の影響で1981年に結合双生児として生まれ、88年に分離手術に成功した後も、重い後遺症を抱えながら平和のメッセンジャーとして生きる「ドクちゃん」ことグエン・ドクさんの人生をとらえたドキュメンタリー「ドクちゃん フジとサクラにつなぐ愛」の公開を記念し、ドクさん来日特別試写会が4月11日、日本赤十字看護大学で開催され、ドクさんと川畑耕平監督がトークを行った。

 1986年、兄のベトさんが「急性脳症」と診断され、2人とも命を失いかねない状況になり、ホーチミンから緊急来日、東京・広尾の日本赤十字社医療センターで約4カ月に及ぶ入院生活を送った。また、88年の分離手術に関しては日本赤十字社などの支援なしでは実現できなかったなど、ドクさんと日本赤十字社との関わりが深いこともあり、今回、日本赤十字看護大学での試写会の運びとなった。

 今年2月25日で43歳を迎えた現在のドクさんは、夫として、父として、妻のトゥエンさんと、双子の子どもであるフジくんとサクラさん、そして闘病中の義母を自宅介護しつつ、自身も入退院を繰り返しながら一家の唯一の稼ぎ手として暮らしており、映画ではそんなドクさんの日常に密着。幸せな家庭生活だけでなく、つらい後遺症と通院、そして亡き兄ベトさんを思う気持ち、生みの親との確執なども赤裸々に語っている。

 集まった観客を前に「みなさんありがとうございます」と日本語であいさつしたドクさん。この映画で伝えたいことを問われると「二つあります。ひとつは今の私の真実の姿をありのままにみてほしい。二つ目は、平和のありがたさ。もう戦争を起こさないでほしいという気持ちを伝えたい。そして、私のことはこれまで日本で数多く報道、紹介されていましたが、ちょっと疑問に思うこともありました。ですので、この映画で正しい私、今の真実の姿を見てほしい」と思いを語った。

 現在医療の仕事に従事しているドクさん。「私は学業を終えてから、病院で働き、医療の現場を体験しています。患者さんそれぞれが困難を抱えて病院に来るので、そういう方たちを大切に扱い、明るい気持ちで接することが大事。そういった看護師さんになれるように努力してほしい」と学生に呼び掛ける。

 ゆかりのある日赤病院について「私自身、兄と一緒の時、兄が病気になった30数年前にこの病院で入院しました。私はこれまで53回日本に来ており、日本は第2の故郷と思っていますが、ここに来るのは2回目、戻って来れてうれしいです。分離手術の機材を提供していただいたおかげで、手術も成功しました。たくさんの恩があります」と述懐。学生へのメッセージとして、「何より平和の重要性です。映画を見た方が周りに訴えて、戦争を起こすまいという気持ちを伝えてほしい。私もこれからどうなるかはわかりませんが、一日一日を大切に、勉強をしてほしい」と強く訴えていた。

 川畑監督はドクさんについて「22年の12月の最初のインタビューで『僕はどれくらい生きられるかわからない』と仰っていて、健康に気を使われているけれど、生きたいということ以上に、双子のお子さんと一緒にいたいという気持ちが根底にあるのかなと思いました」と述べ、看護学生に対し「ドクさんが生きているのは医療や看護の方々の力なくしては生きていなかっただろうし、ドクさんは医療に携わる方への気持ちが強いと思います。日本とベトナムの関係のように、他の国の方々への医療についても考えていただけたら次のドクさんが助かると思います」と語りかけた。映画は5月3日から全国順次公開。

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