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花の都パリが抱え続ける社会問題を描く俊英ラジ・リ監督 新作「バティモン5」は、マクロン大統領への「痛烈なアンサー」

映画.com / 2024年5月3日 15時0分

 特集上映の1本目は、第92回アカデミー国際長編映画賞にノミネートされ、第72回カンヌ国際映画祭で「パラサイト 半地下の家族」とパルムドールを争った末に審査員賞に輝いた「レ・ミゼラブル」。現フランス大統領であるマクロンも鑑賞したという国民的話題作でもある。ラジ・リ監督曰く、マクロン大統領は「パリの郊外の現実は理解した、早急にアクションを取る」という話をしていたそう。

 ISOがインタビューで、マクロン大統領をめぐる後日談について、ラジ・リ監督に聞いたところ、「マクロンは『何もしていない』」「むしろいまの状況を見ると確実に悪化している」と語っていたという。ISOは「日本でも、そういうことがときどきありますけど、映画を見て感想を言って、もっともらしいことを言っているぞと思ったら、何もしないみたいな。フランスでも起きているんですよね」と苦笑い。そして「『バティモン5』は、それに対する回答、痛烈なアンサーだと思います」と、特集上映の2本目である新作「バティモン5」へと話をつなげた。

 郊外の団地を舞台にした作品を撮り続けているラジ・リ監督。奥浜は、「3作目があり、3部作のようになるという話もある」「住まいは人間の命に直結するものなので、ラジ・リ監督が実際に生まれ育った『団地』で、それを撮っていくということが、作品にとって大きな意味がある」と、“団地”というキーワードの重要性を伝えた。ISOも「フランスというと皆さんが持つ華やかなイメージがあるところを、監督は何とか『現実を見せたい』という思いが、多分あるんですよね」「監督自身、そういう現実を団地で描くことによって表現しているのかな、とすごく感じる」と、分析した。

 ISOは、「『レ・ミゼラブル』より『バティモン5』が好き」と断言。「『レ・ミゼラブル』は、人種や宗教の衝突、暴動、デモなどが描かれていて、フランスの現実ではあるのですが、“自分ごと”としては、なかなか見ることができなかった作品だった」と振り返る。しかし、「バティモン5」については、「貧困、格差に加えて政治腐敗や、若者の政治参加について描く作品」であり、結果的に“自分ごと”として見られたと告白。「実はラジ・リ監督もそれを狙っているみたいで、いままでドキュメンタリーでも劇映画でもモンフェルメイユを舞台にしてきたのですが、『バティモン5』は架空の街(モンヴィリエ)にすることで、より作品に没入・共感させることに成功したはずです」と、見解を述べた。

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