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昆夏美・大原櫻子・海宝直人・村井良大が「この世界の片隅に」のミュージカル版で共有する悩みと喜び、切磋琢磨の日々!【若林ゆり 舞台.com】

映画.com / 2024年5月8日 13時0分

大原:どこまですずさんの頭の中なのか。頭の中の言葉であれば感情を出していいんじゃないかと思ったり。とはいえセリフの延長であった時に、果たしてこれでいいのか、と迷う部分もありますね。私はすごく入り込んでしまった時があって。すずの人格とかはもちろん考えなきゃいけないんですけど、1回、2幕の通し稽古のときに、けっこう感情に任せてやってみたんです。明らかに周作さんとすれ違ってしまった後、感情がめちゃくちゃ揺れ動いて、いろいろあった後で「絶対帰ってきてくださいね」と言うシーンなんですけど、ポロポロ泣いた後に、しゃくりあげている感じが残っちゃっているし、完全に目も腫れているし、鼻も赤いし……ということになって、「何これ、いつなんだ私は?」って意味がわかんなくなっちゃった(笑)。

海宝:やっぱり音楽の力がすごくて、そこでグッと持っていかれる瞬間というのは多々あるんですけど、いま、そことの戦いも起こっています。音楽の力で引っ張られすぎてもいけないと思うんです。音楽の色彩が豊かで、今回ミュージカルにすることの意味はそこにもあるけど、時にそれが鮮やかに強すぎてしまうと、芝居が見えなくなるから。音楽って感情を持っていかれるじゃないですか。嫌な気分でいても素敵な音楽を聞くと、ジーンとしたり、感動したりできる。だけどいまは、そこに疑いを持ちたいなと思っているんです。

海宝:だからいま役者も含めて、音楽監督と話しながら「じゃあここはなくして、移動していたセリフを戻した方がいいかもしれないね、そうするとすずの気持ちが盛り上がってサビに行けるね」とか、そういう細かい調整をやっています。物語全体を通して繋げてみると、これは個人の歌だけにしておくのはもったいない、というのがだんだんと芽生えてきて。オリジナルミュージカルの「生みの苦しみ」にいま、まさに直面しています。

大原:アンジェラさんの中では、「こういうふうに歌ってほしい」みたいな完成形が見えているんですね。稽古場に来ていただいたとき、「ちょっと1回歌うね」と言って、歌ってくださった。結果、なんか聞き惚れてしまって(笑)。考えるどころじゃないみたいな感じになっちゃったんですけど(笑)。でも、アンジェラさんも役者も、セリフの延長上に歌があってほしいというのは揺るがないものなので。歌い上げるというよりは、それこそ言葉を吐き出していくというか、言葉をひとつひとつ丁寧に扱って、立たせていく。どこを立たせていくのかというのにも、すごくこだわりがあるんです。

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