「シャンタル・アケルマン映画祭2024」6月19日開催 映画祭初上映作品3作含む15本をラインナップ、来日ゲストのトークも
映画.com / 2024年5月23日 18時0分
■「南」(1999)
作家ウィリアム・フォークナーとジェームズ・ボールドウィンにインスパイアされ、アメリカ南部での映画製作を計画していたアケルマン。しかし撮影の数日前、テキサス州ジャスパーでアフリカ系アメリカ人のジェームズ・バード・ジュニアが白人至上主義者たちによって壮絶なリンチの果てに殺害される事件が起こる。この恐ろしい事件に焦点を当てながら、アケルマンは地元の人々へのインタビューを通し、アメリカ社会に潜む憎悪とその背景を検証していく。
■「向こう側から」(2002)
9.11の同時多発テロの直後、アケルマンはメキシコを訪れ、危険を冒してでもアメリカ合衆国に越境しようとする移民たちの運命をとらえた。ひとつひとつ積み重ねられる痛みや悲しみの言葉、不条理な状況を受け入れざるを得ない人々の証言。アケルマンの眼差しによって、国境や砂漠の地の不在そのものが強烈な重みを増し、21世紀初頭の<行き止まり>を観客に内から体感させる。「東から」「南」と続くドキュメンタリー三部作を締めくくる作品。
◆ほか上映作品
■「街をぶっ飛ばせ」(1968)
当時18歳だったアケルマンが、ブリュッセル映画学校の卒業制作として初めて監督、主演を務めた記念すべきデビュー作。狭いキッチンで縦横無尽に暴れ回った彼女の支離滅裂な行動は、驚くべき事態で幕を閉じる。その後の反逆的な作品群の原点とも言える破壊的なエネルギーに満ちた、あまりに瑞々しい短編。
■「私、あなた、彼、彼女」(1974)
アケルマン自身が演じる名もなき若い女性がひとり、部屋で家具を動かし手紙を書き、裸で砂糖をむさぼる。部屋を出た彼女はトラック運転手と行動を共にし、訪れた家で女性と愛を交わす。観客は彼女の道程を緊張感を持って見つめることによって、その“時間”を彼女と共有する。
■「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」 (1975)
ジャンヌは思春期の息子と共にブリュッセルのアパートで暮らしている。湯を沸かし、ジャガイモの皮を剥き、買い物に出かけ、“平凡な”暮らしを続けているジャンヌだったが……。アパートの部屋に定点観測のごとく設置されたカメラによって映し出される反復する日常。その執拗なまでの描写は我々に時間の経過を体感させ、反日常の訪れを予感させる恐ろしい空間を作り出す。
■「家からの手紙」(1976)
路地、大通りを走る車、駅のホームで電車を待つ人々、地下道……1970年代ニューヨークの荒涼とした街並みに、母が綴った手紙を読むアケルマン自身の声がかぶさる。都会の寂しさと、遠く離れた家族の距離がエレガントな情感を持って横たわる、映画という<手紙>。
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