1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

もっと自分の気持ちを伝えてもいい――映画「好きでも嫌いなあまのじゃく」柴山智隆監督が込めたメッセージ

映画.com / 2024年5月24日 14時0分

――鬼=怖いイメージを持っている方も多いと思いますが、確かにこれまでとは違った描き方をされています。スタッフの皆さんとはどんなことを話し合いましたか?

 ティーンに向けて伝えたいことをスタッフみんなで話し合いました。10代の子たちはどんなことで悩んでいるんだろうって話したときに、ネットを日常で見ている子たちが、学校や家庭では周りの人たちの顔色を見ていて、いろいろなことを先読みして、自分の気持ちを伝えないことが当たり前になってる――そのことに気付いていない子たちが多いんじゃないかって話し合いました。自分が10代だった当時もいろいろうまくいかなかったので、それを思い出しながら重ねるところもありました。

 鬼という言葉の語源は“隠”で、目に見えないものを隠(おぬ)と呼んで恐れていた時代があり、それが転じて鬼になったという説があるそうです。気持ちを隠している主人公と、今の子たちの気持ちを“隠す”という部分とつながって、ストーリーが出来上がっていきました。

 自分の気持ちを隠してしまうような人たちの背中を押したいというか、“もっと自分の気持ちを伝えてもいいんじゃないのかな”っていうことは、作品に込めたいと話していました。

――劇中には隠の郷の守り神であるユキノカミが印象的に登場します。デザインなど、どんな部分にこだわりましたか?

 シナリオがまだ完成していないときから、こんな存在が欲しいと思ってユキノカミのデザインを進めていました。シナリオには、気持ちを隠すと出てくる小鬼と、柊とツムギを追いかける何かって書いておきましょうって作っていったのですが、当時はこんなに映画に出てくるとは思っていなかったです。

 ユキノカミの登場シーンは、いかにもな悪役に追いかけられるとか、そういうシーンではないだろうとは思っていました。デザインとしては笑顔の目にしたり、作り笑いのイメージにしています。何を考えているかわらかない怖さをイメージして進めていました。動きはタコ、ヘビ、食べるときはクジラなどを参考に、鳴き声は海洋生物で作っていて、リアルに受け入れてもらえそうなアプローチで作っています。

――「泣きたい私は猫をかぶる」で監督デビューされ、今回も長編を手掛けましたが、今改めて感じている監督の仕事の面白さ、醍醐味はどんなところでしょうか。

 初めて一人で監督を経験したのですが、スタッフの皆さんの意見を聞きながらみんなで作ったり、才能に触れるのはすごく楽しいです。僕の中から出てくるものだけで作ると面白くないと思うので、いろんな人の刺激に触れることができるのは、監督をやっていて良かったと思う瞬間です。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください