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ビッグフット一家の生活を描いた“最も奇怪な映画” ジェシー・アイゼンバーグが製作秘話を語る【NY発コラム】

映画.com / 2024年5月29日 10時0分

 そんなローランから、どのようなことを教わったのだろうか。

「まず自分たちの家に十分なスペースを確保し、Zoomを行った。僕らは、カメラを部屋の一番端に置いて、サスカッチみたいにただ行ったり来たり歩いてみた。それはとても馬鹿馬鹿しく見えた。それが僕らがやった奇妙なことの一つだった。その他にやったことと言えば、生の葉っぱを食べて、その葉っぱが口からしたたり落ちる様子だったり、サーモンを獲って野生のようにかじる様子だったりを表現した。劇中では、僕のキャラクターは“詩人”だと思いながら演じていた。このキャラクターは、僕たちが考えるような陳腐なものではなく、自然を尊敬するような人物だ。特殊メイクを使って撮るという課題があったから、何時間の間、メイクを施している人たちを殺したいと思わないように努めたよ(笑)。朝から車で2時間も移動して、人里離れた荒野の現場に向かった。朝の4時には、顔の隅々まで接着剤を塗られ、ヤクの毛を貼られ、その上からメイクが施された。とても居心地の悪い気分で毎日が始まっていったんだ」

「僕よりずっとタイトな人のために作られたサスカッチ姿のスーツを着せられた。それは、全身の筋肉にフィットしなければならないものだった。そんなサスカッチのスーツ姿で、1日中食事をするんだ。映画の冒頭、サスカッチが野原を歩いているシーンがあるが、あの時が人生で一番疲れた日だった。野原の端っこに着いた時、僕ら(=サスカッチ役を演じている俳優陣)は、地面に横たわったくらいだ。それが初日で、俳優陣は『こんなの最悪だ』みたいな顔をしていた(笑)。とても疲れたんだ。人から哀れみを求めたくはないが、そんな哀れみを人から受けたいと思うほど、僕らは心底疲れていた」

「今作は全てロケで撮影されている。これまでも僕は撮影中に、肉体的労働を経験したことはあるが、これは“本物の肉体的労働”だった。特に足が疲れた。唯一素晴らしかったのは、鏡でサスカッチ姿の僕を見た時くらいだ。1日の途中でトイレに行かなければならない時もある。その過程もかなり大変だった。その度に、僕は鏡を見て『素晴らしいアートの世界にいる。この世界にいられることをとても光栄に思う。素晴らしいことなんだ』と言い聞かせていた」

「そして『今日の撮影はここまで。でも、翌日は違うだろう』という感じだった。野性的な怖さもあったと思う。でも、彼女(ライリー・キーオ)が魚を食べる姿を見るのが大好きだった。クールでグロくて、考えすぎる必要もないくらい自然体だ。私はいくつかの映画で、映画の舞台が現実世界と全く同じではないことを経験してきた。役者として、私はそのような映画にとても憧れていたんだ。いくつかの映画で経験したことだけど、映画は現実世界とはまったく違う場所で起こっている。社会的なやり方とは異なるやり方で演技をする許可や構造を与えてくれることもある。役者として、そのような映画にとても憧れた。サスカッチを演じることに恐れを抱いていたけれど、俳優として何かをするために“新たな挑戦”も必要なんだ」

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