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ワン・イーボーの圧倒的な存在感 「無名」日本公開時の“即完売”が中国でも話題になっていた【アジア映画コラム】

映画.com / 2024年6月7日 14時0分

 舞台は、第2次世界大戦下の上海。“孤島”と言われた当時の上海は、世界各国のスパイが集結し、情報戦&銃撃戦が乱立している混沌の時代でした。この時代に魅力を感じた映画作家も少なくありません。ロウ・イエ監督の「サタデー・フィクション」、アン・リー監督の名作「ラスト、コーション」も“あの時代”を舞台にしています。ちなみに「ラスト、コーション」はトニー・レオン主演。「無名」での髪型が「ラスト、コーション」出演時と“ほぼ同じ”だったので、まるでマルチバース作品を見ているような気分になりました(笑)。

 「無名」は「サタデー・フィクション」や「ラスト、コーション」とは異なり、チェン・アル監督の作家性を保ちつつ、より旧正月映画向きのエンタメ要素にも力を入れていました。激しい銃撃戦、キャラ同士の対立といった見どころも満載。そのなかでも特に注目が集まっていたのが、ワン・イーボーでしょう。

 アイドル出身のワン・イーボーは、2019年の中国ドラマ「陳情令」でシャオ・ジャンとともに大ブレイクを果たしました。「陳情令」は、1日の再生回数が2億回を超えるなど、当時の中国を席巻。その後、日本を含めたアジア各国でメガヒットしました。

 「無名」が初めて情報解禁された際、中国ではかなり大きく報道されていました。もちろん最も注目されていたのは、ワン・イーボー。ただ、中国映画市場は簡単にヒットできるようなマーケットではありません。数多くのアイドルや若手スターが、ドラマなどで実績を残しながらも、映画ではコケるといったことが度々ありました。しかも、映画がヒットしない場合、出演するアイドルが、批判の矢面に立たされることが多いんです。だからこそ「映画出演」のプレッシャーは、非常に高いものになっています。

 ところが「無名」は大成功を収めることになります。しかも、ワン・イーボーには、一般の観客からだけでなく、映画批評家たちからも称賛の声が届くことになりました。その後、主演映画「ボーン・トゥ・フライ」(6月28日から日本公開)、「熱烈」(9月に日本公開)が連続で大ヒットし、第17回アジア・フィルム・アワードの最優秀新人賞にノミネート。2023年は、ワン・イーボーが映画俳優として大きく躍進する年となったんです。

 日本では、2020年に「陳情令」が大ヒットし、日本語吹き替え版も制作されました。ただ、中国ドラマに関しては「陳情令」以前から、日本ではちょくちょく話題になっています。特に、時代劇やファンタジードラマは、中国ドラマ市場の成長によって潤沢な制作費を確保。映画スケールのドラマが数多く作られています。

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