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【インタビュー】平泉成、俳優生活60年から振り返る「縁」 三隈研次監督、市川雷蔵さんとの思い出

映画.com / 2024年6月8日 9時0分

 「色々あり過ぎて、一瞬にして思い出すことは難しいなあ。『大魔神怒る』に出演した時は、主演の本郷功次郎さんに『おい、おまえの水着も持って来てやった。ちょんまげ付けたままでいいから、着物脱いで一緒に泳ごう』って誘われてね。三隈先生たちも見ていたので、『やばいんじゃないですか?』と躊躇したんですが、『大丈夫だよ。首だけ出してこうやって泳いでりゃ』って誘われるがまま海に入っちゃってね。

 福井の小浜の入り江だったなあ。なんだかんだ言いながらも『気持ちいいですね』なんて言いながら泳いでいたら、『本郷くん!』って三隈先生に呼ばれて、説教を食らっているんですね。先輩は主役だから怒られているのかなと思ったら、『平泉くん!』って呼ばれた。『このアホにかつらが何で出来ているのか、床山さん1日かかってもいいからゆっくり教えてやって』と怒られ、かつらが塩水に浸かるとどうなるかということを勉強させてもらいました。

 とにかく終わった。良かった、良かった、と京都の撮影所に帰ったら翌朝、俳優課長が飛んできて『きみ、すぐに所長室へ行け』って。鈴木晰成さんという所長に『昨日は立派なことをやったらしいなあ。若いうちはそれくらい無鉄砲でもいいけど、そんなバカなことばかりやってちゃダメだぞ』と注意を受けました。でもなんか褒められた気がしてね。『たまには部屋へ遊びに来なさい。お客さんがいなかったら、いつでも来ていいぞ。若いうちはそれくらい元気な方がいい』とまで言ってくれて、ありがたかったですね」

■息子役・嘉島陸の現場での姿勢に目を細める

 いつまででも聞いていたくなる、在りし日の映画業界の“温もり”の溢れる思い出話。今作では、佐野や嘉島といった若手勢がベテラン陣の胸を借りて現場に臨んだことは想像に難くない。平泉は、息子役に息吹を注いだ嘉島の現場での姿勢を見逃すことがなかった。

 「嘉島陸は丁寧な芝居をしていましたね。カメラが僕や佐野くんの方しかとらえていない時でも、嘉島くんが隅っこの方で必要な芝居をきちっとやっているんです。なかなか良い役者だと思いましたよ。出来上がった映像を見ても改めてそう感じましたし、彼はもっと評価されていい役者ですね。これからが楽しみな俳優のひとりです。一番大事なところできちっとやっている。いい役者ですよ。今回は若手が皆、良かったよね」

 本編中には、印象的なセリフが幾つもちりばめられている。「被写体を撮ることだけが写真家の仕事じゃない」「最高の瞬間があるから、最高の写真が撮れる」など。平泉にとって、俳優人生における最高の瞬間がどのようなものか聞いてみた。

 「今回みたいな瞬間なんだろうねえ。試写会の時に、思わず涙がにじんでしゃべれなくなっちゃったんだけど、今まで味わったことのない瞬間だったなあ。僕も突っ張って生きてきたつもりなんですが、妙に謙虚になっちゃった。こういうのを最高の瞬間っていうんだろうね。

 完成した映画を観ても、良い手本みたいな作品になった。理屈っぽくないし、ただ普通に生きている人たちの優しい心を見せている。そこから学ぶことが山ほどある作品だったなあって改めて感じますね」

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