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村上春樹、唯一映画化してほしい長編作品は「アンダーグラウンド」 原作の映画化に期待することは?

映画.com / 2024年6月17日 13時0分

 フランス語版と英語版で、かえるくんの声を務めたフォルデス監督も、「私も映画化にあたって、脚本を書いているとき、急にかえるくんが出てきたんです。本当に素晴らしい瞬間で、素晴らしいキャラクターだと思いました。すごく教養があるし、同時に大胆だし、そういうキャラクターを映画のために作ることを楽しみました」と頷く。村上氏は、「ピエールさんの映画のかえるくんも、僕のイメージによく合っていて、面白かったです」と賛辞をおくった。続いて村上氏は、「短編6作品の組み合わせがとても面白くて、そのあたりを聞きたいです」と質問。短編小説を選ぶことにとても苦心したというフォルデス監督は、以下の通り、製作過程を述懐した。

 フォルデス監督「『かいつぶり』を当初は入れていたんですが、最終的には、地下の通路という部分だけを残しています。最初はどうするか、全く決まっていなかったんです。ただ、これらの短編が好きで、すごく神秘的でマジカルなものをどうにかとらえたかった。最初は5つの短編、それぞれのアニメを作ろうと思ったんです。それで『かいつぶり』は、それぞれの短編の間にジョークのように、少しずつ入れていこうと。ただ、映画を作る過程はかなり時間がかかりますので、思考を深める時間、脚本について考える時間がたっぷりありました。少しずつ少しずつ、自然に物語と物語の間がつながってきたんです。植物の根が絡み合っていくように。そして、いろんな短編の登場人物が、もしかしたら同じ人の別の側面なのかもしれないと感じるようになったんです。このような形で、徐々につながりが見えてきて、村上先生のいくつかの短編を、ひとつの物語につなぎ合わせてきたんです」

 村上氏はさらに気になるポイントとして、「ピエールさんは、日本に長期滞在したことはあるんですか? 日本の風景が面白く、よく描かれていたから、とても感心したんです」と質問。フォルデス監督は、長期での滞在はなく、自身の解釈やインスピレーションで、日本の描写を形作っていったことを説明した。村上氏は「北海道のラブホテルがすごくリアルだった、内装が」と笑い交じりに指摘すると、フォルデス監督は「ラブホテルの写真をいろいろ見て、自分のバージョンを作ってみたんです」と、笑顔で返していた。

 村上氏は、自身の原作が映画化されることを、どう感じているのだろうか。村上氏は、「僕、本作の前に、『バーニング』『ドライブ・マイ・カー』という映画があって、どちらも短編小説から作った映画なんですよね。短編って、わりに映画にしてもらうのは嫌じゃないんですよね」と語る。柴田氏が「長編はあまり望まないとおっしゃいますが……」と聞くと、「短編小説だと、映画を1本作るには、監督自身のものを足していかないといけないから、そうすると面白いものができる傾向がある。長編はどうしても引く作業になってしまうんですよね、映画におさめるのは大変だから。そうすると、短編から作った方が意欲的なものができる気がするんですよね」と思いを吐露し、次のように考えを伝えた。

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