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【インタビュー】巨匠マイケル・マン、構想30年の執念と情熱 深く魅了された「フェラーリ」創業者の類まれなる人物像とは?

映画.com / 2024年7月4日 13時0分

 しかし、私生活となると真反対で、本当にカオスとしか言いようがない。何かをすべきか、すべきでないのか、一切考えずに行動していたんじゃないかと。自分自身に唯一問いかけたのは、「しない理由はないよな」ということぐらいだったと思います。なので、素敵な女性が前を通れば、彼はあっという間にいなくなるような感じだったのかもしれません(笑)。つまり、ふたつの相反する面が、ひとりの人間に共存しているんです。それが本当に興味深くて、魅了される部分です。

――そして、マン監督の壮大なビジョンに応えた、キャスト陣の熱演も鬼気迫るものがあり、素晴らしかったです。

 妻ラウラを演じたペネロペは、私が「本当に光栄な立場にいるな」と感じるほど、素晴らしかったです。彼女のキャリアのなかで最も素晴らしかったんじゃないかと自負しています。このキャラクターは、本当に多面的なんですよね。そのおかげで、ペネロペも演者としてやれることが、ものすごくあり、彼女のいままで見ることがなかったような才能や能力がさらに引き出されていたように思います。

 ラウラは強く、自信がある。息子の死のトラウマがあり、過去に囚われている。失った悲しみで半狂乱になり、非論理的な考えに至り、それを疑うことなく、口にすることができる。一方のエンツォは自分に自信がなく、不安を抱えている。だからエンツォは、アグレッシブに振る舞うんですね。

 そしてエンツォは現在と未来を生きています。対してラウラは、現代に生きながら、過去に囚われている。このふたりのキャラクターの間の力学は、本当に興味深かったんですが、ペネロペの演技は傑出していたと思います。それと同時に、笑ってしまうような、ある種のユーモアを感じさせる演技だったと思います。彼女と、かなり密接に作業をしました。僕らは実際にモデナで撮影したので、ラウラが最期の1年半を過ごした寝室に行き、部屋の壁紙の模様を見ることができたんです。最期の1年半は、ベッドから出られない生活だったそうなので、彼女が選んだその壁紙は、大きな意味を持っていたと思います。どんな思いが込められているのか、考えることができましたし、毎日彼女と接していたお医者さんと話すこともできました。

 モデナにいたとき、フェラーリはグローバルブランドという雰囲気ではなく、地元スポーツチームのホームのような感じだったんです。この映画を作っていることに、感謝してくださる方がたくさんいました。彼らにとっては、フェラーリがホームチームだからです。自分がフェラーリで働いているとか、父がフェラーリで働いているとか、何らかの関係を持っている方ばかりで、すごくナチュラルに共感してくださった。そんなわけで、キャストたちは、演じているキャラクターを知っている人々と、それらの人々を知っている人々とたくさん話すことができて、すごく役に立ったと思います。

 「フェラーリ」は、7月5日から東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。

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