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「インサイド・ヘッド2」ピクサー史上最高のヒット “楽しくて気づきを与える”傑作が 商業的ヒットに繋がったワケは?【ハリウッドコラムvol.355】

映画.com / 2024年7月26日 10時0分

「インサイド・ヘッド2」ピクサー史上最高のヒット “楽しくて気づきを与える”傑作が 商業的ヒットに繋がったワケは?【ハリウッドコラムvol.355】

(C)2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米ロサンゼルス在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリストの小西未来氏が、ハリウッドの最新情報をお届けします。

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 ピクサー最新作「インサイド・ヘッド2」の世界総興収が、「インクレディブル・ファミリー」(12億4300万ドル)を超えて、ピクサー史上最高のヒットとなった。

 「トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」「Mr.インクレディブル」など数々のヒットを生みだしてきた同社にとっても、快挙だ。また、アニメ映画としても歴代1位の「アナと雪の女王2」(14億5300万ドル)に迫っており、記録更新も視野に入ってきた。

※編集部註:7月25日追記/世界興収が14億6200万ドル(2245億円)を突破し、アニメ映画史上世界No.1の快挙を達成(数字は7月25日付box office mojo調べ/1ドル153円)

 話題作を連発していたかつてのピクサーを知っている人にとってみれば、当然の結果と思われるかもしれないが、近年の同社は迷走しているようにみえた。同じディズニー傘下のマーベルと同様、かつての輝きが失われてしまったとの悲観論が広まっていた。

 実際、チーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるピート・ドクター監督も、公開前の米誌タイムの取材で、「本作が失敗したら、抜本的にビジネスモデルを見直さなければならないだろう」と、語っていた。相当な覚悟のもと作られていたと想像できる。

 「インサイド・ヘッド2」は、人間が抱く「感情」たちの世界を描いた傑作「インサイド・ヘッド」の続編だ。女の子の頭のなかを感情たちの視点から描くという独創的なアイデアはそのままに、前作では11歳だったヒロインが13歳になっている。

 思春期を迎え、感情の乱れや自我の形成に悩むヒロインの頭のなかに、新たな感情たちが生まれる、という設定になっている。不安や混乱に支配されがちな思春期を題材に、 イマジネーションとハートをたっぷり詰め込んだ、ピクサーらしい野心作だ。

 「インサイド・ヘッド」シリーズが傑出しているのは、楽しいひとときを提供することを目指したエンタメ作品だらけのなかで、教育的側面が備わっていることだ。

 たとえば前作を見れば、「人には悲しみの感情も必要だ」ということがわかるし、今回は「ある程度の年齢を過ぎると、心配に感情を支配されがちになる」ということが理解出来る。

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