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【「箱男」撮影現場レポ】石井岳龍監督「一度たりとも諦めたことがない」“幻の企画実現”に確かな“熱”を感じた

映画.com / 2024年8月9日 10時0分

 頓挫から27年の間「一度たりとも諦めたことがない。最初に立ち上げた時から“必ず撮る”。物理的な問題で撮れなくなった時期はありますが、必ず機会が巡ってくると信じていました」と明かした石井監督。関氏に「(『箱男』の映画化を)一緒にやりたい」と持ちかけたのは、2013年1月。2015年、今回のバージョンにおける“初稿”を書き終えるが、すぐさま撮影には結びつかず。関氏いわく「毎年のように『今年はやりましょう』『今年はできませんでした』の繰り返し」だったそうだ。

関氏「(スタッフやキャストには)初稿が上がった15年には、既に“お声掛け”はしていまして。オファーをさせていただき、快諾していただいてから、毎年『今年は何月が空いてらっしゃいますか』という形です」

 大きなきっかけとなったのは、2024年に控えていた「安部公房生誕100年」。2023年の撮入を目指し、石井監督と永瀬は、関氏同席のもと顔を合わせることになった。時は、2022年12月31日――。関氏は、当時の様子をこう振り返った。

関氏「2時間ぐらい“言葉にならない”時間が続いていましたね。『ついにやるんですね』『えぇ』と頷き合いながら視線を交わしていて――」

 ここでさらに時をさかのぼろう。石井監督と関氏の繋がりが強まったのは、ドラマ「ネオ・ウルトラQ」シリーズの撮影時。同作には、「箱男」の脚本・いながききよたか、撮影・浦田秀穂、照明・常谷良男らも参加していた。関氏は「(『ネオ・ウルトラQ』の)編集が全て終わった頃、石井監督から『関君とやりたいものがあるんだ』と言われて渡されたのが『箱男』でした。最初にやってきた感覚はショッキング(笑)。それと同時に光栄でもありました」と述懐する。

 まず関氏が着手したのは、原作権の取得。2013~2016年を経て許諾を得ると、次いで脚本のいながきを迎え、プロットを何度も何度も組み替えつつ、完成へと突き進んでいった。と同時に、関氏は資金調達にもまい進することになる。

関氏「公開したら絶対に見に行く。だけども“映画としての出資”はどうしても難しいと言われ続けまして。脚本を読んでいただいてもわかりづらいテイストですし、どういう映画になるのかがイメージにしにくかったんだと思います」

 やがて「ハピネットファントム・スタジオ」というパートナーに巡り合う。同社の小西氏は、石井監督とは長い付き合い。「箱男」の話題は以前から聞き及んでいたようで――。「『箱男』については、97年に起きた事件も知っていましたし、石井監督とは何作もご一緒していたので何かの形でご協力できればとは思っていましたが、『シャニダールの花』で、石井監督と韓国のプチョンの映画祭に行った時に、タクシーでの移動中『いよいよ箱男ができるかもしれません』とお聞きしました。多分原作権取得の目途がついた頃だったのかな」と振り返る。

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