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【「箱男」撮影現場レポ】石井岳龍監督「一度たりとも諦めたことがない」“幻の企画実現”に確かな“熱”を感じた

映画.com / 2024年8月9日 10時0分

小西氏「“箱を被って窓から覗く”だけで優位に立てる。この感覚が本当に現代的だなと思いました。姿を見せず、一方的に覗くだけ。今の時代のSNSのように好き勝手に覗いて発信もできる。誰でもヒーロー、またはアンチヒーローになり得る。原作は50年も前の作品ですが、その点が“今の時代性”を予見していると思いました」

 石井監督も「“今の映画”として撮らなければ意味がないと思っていた」という。

石井監督「ノスタルジーとしての作品ではなく、みんなが自分の主観や妄想の世界に閉じこもってる“1億総箱男化”という部分が腑に落ちて、とにかくどんな状態でも作ってやろうと。そこは制作サイドも同じ思い。『今やるべきだ』ということで、ついに立ち上がったんです」

 映画版「箱男」は、アクションである。と同時にラブストーリーでもあり、ホラーでもある。そしてギャグもたんまり込められているコメディであり、サスペンスであり、不条理スリラーであり……つまりノンジャンルかつ、すべての映画を包括するようなオールジャンル。石井監督は「撮影日によって全然違う映画になるんです。今日はたまたまアクションですね」と笑みを浮かべた。

 では、石井監督にとっての「箱男」とは――?

石井監督「私には“怪人”に映ったんです。最底辺の人物が、段ボールの除き窓を開けることによって、実存的なヒーローになる。娯楽的にイメージしたのは、丹下左膳。どちらかといえば何かが欠落しているようなダークヒーローです。そういう存在に“ダンボールを被るだけ”でなることができる。これはマーベルとは全く異なるヒーロー像ですし、それが非常に日本的で素晴らしい発明だと思いました。もちろん匿名性や、本物と偽物の問題、安部さんならではのアイデンティティの喪失における問題は原作に色濃く滲んでいるので、そこは自分なりにじっくり取り入れてさせてもらっています。100人いれば100通りの解釈があるような小説なので、そこをどのように映画として見せたらいいのかは、ずっと、ずっと、ずっと考え続けています」

 27年という歳月によって熟成された“答え”は、間もなく世に発信される。

 「箱男」は、8月23日から全国で公開。

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