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「ライオン・キング」公開30周年 アニメ映画の“王”その魅力を解説 【8月10日は世界ライオンの日】

映画.com / 2024年8月10日 14時0分

●2.愛すべきキャラクターたち

 主人公のシンバを筆頭に、その父であるムファサ、ムファサの弟で、ヴィランでもあるスカー、ラフィキ、シンバが出会うティモンとプンバァ、そして、幼なじみのナラと、記憶に残る愛すべきキャラクターたちの存在も、「ライオン・キング」を特別な作品にしている。

 成長したシンバを演じるマシュー・ブロデリックをはじめ、声優陣の演技も絶品だ。例えば、その威厳溢れる声で、ムファサに命を吹き込んだジェームズ・アール・ジョーンズは、「スター・ウォーズ」シリーズのダース・ベイダーの声でも知られ、映画史に名を刻むふたりの“父親”を演じた名優。また、最高のコメディリリーフを担ったティモンの「何しろってんだ? フラダンスでも踊れってのか?」というセリフは、声優を務めたネイサン・レインのアドリブで、これを気に入った演出チームが、本編に取り入れた。さらに、スカー役のジェレミー・アイアンズ、シェンジ役のウーピー・ゴールドバーグら、実力派キャストが集結し、物語に確かな説得力を与えている。

●3.作品を彩った名曲の数々

 忘れてはいけないのが、エルトン・ジョンとティム・ライスがタッグを組んだ名曲の数々だ。「サークル・オブ・ライフ」「愛を感じて」「ハクナ・マタタ」――これらの楽曲は、キャラクターや物語はもちろん、観客の心までも躍動させ、アフリカの大地を歩む冒険をより豊かな体験へと昇華させた。ライスといえば、作曲家アラン・メンケンとの“黄金コンビ”で知られるが、当時メンケンが多忙だったため、ライスは当初、スウェーデンのポップグループ「ABBA」とのコラボレーションを模索した時期もあったという。

 また、映画の冒頭を飾る印象的な歌声は、南アフリカ出身のミュージシャンであるレボ・Mによるもの。スコアを担当したハンス・ジマーとは、「パワー・オブ・ワン」(92)で仕事をともにした縁があり、再タッグが実現した。ズールー語による歌唱は、たった1度のテイクがそのまま採用されている。サウンドトラックは全米だけで約770万枚を売り上げ、「世界で最も売れたアニメ作品のサウンドトラック」として、ギネス世界記録にも認定されている。

●4.伝統と革新が融合したアニメ表現

 サバンナの雄大な自然、そこに息づく鮮やかな生命を、スケール感たっぷりに描いた映像美も「ライオン・キング」の魅力だ。また、作品を象徴するヌーの大群の暴走シーンは、従来のアニメ技法と、当時本格的な導入が始まったCGI技術の融合で、生み出されている。デジタルで生み出された複数種のヌーをコピーし、互いにすれ違うことを避けながら、渓谷を突進するプログラムが開発され、わずか2分半のシーンを完成させるのに、約2年の歳月が費やされた。

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