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押山清高監督がクリエイター志望者に語るキャリアと「ルックバック」制作の舞台裏【ひろしまアニメーションシーズン2024】

映画.com / 2024年8月17日 22時15分

 自らのスタジオ設立についての経緯は、「作品全体を作ることを経験して、僕は、いろんなところに首を突っ込みたがるタイプ。短い時間で、作品に対して貢献するには、僕の限られたリソースでは画面作りに割くのがパフォーマンスとして一番良いと思った。設定も起こせるし、原画も書けるし、修正もできる。それは監督としての仕事が多岐にわたって、膨大になってしまうことがわかった。ほかのスタジオでここまでやる人はあまりいないので、これほど作品に入れ込む、自分のリソースを100%注ぎ込むタイプだと、スタジオから雇われて監督するのは割が合わないと思った」と理由を述べる。

 日本の長編劇場作品は大規模な集団制作で作り上げられるのが一般的だが、「僕がアニメ業界に入った時は、既に商業アニメーションの制作システムやアニメーションがたどってきた歴史の蓄積があり、その上に僕は立たせてもらって、キャリアをスタートしましたが、アニメーションの作り方をもっと0ベースで考えるようになったんです。監督をしてみて、もっとコンパクトに作れるのでは? 僕が作るんだったら少人数でやりたいと思った」と、スタジオを設立した自身の理想を語った。

 自身のスタジオで制作した短編映画「SHISHIGARI」で手ごたえを感じ、「ルックバック」へとつながった。「『ルックバック』の話をいただいて、自分の制作手法と相性が良いと思ったんです。今回、『ルックバック』で原動画という特殊なクレジットをつくりましたが、『SHISHIGARI』は原画も動画も僕一人で描きました。原画を着彩して動画として出す、『ルックバック』でも同じことをやっています。原画の線を表現していい作品として、『ルックバック』は絵描きの話だし、絵描きの気持ちを表すのに良いと思った。一人でやりたかったですが、さすがに長尺なので、限られた人数で同じことを…と考えた」と、「SHISHIGARI」の経験とともに振り返った。

 原作がある「ルックバック」を映像化するにあたって意識した点は「原作物はほとんどやったことがなくて、湯浅政明監督の「DEVILMAN crybaby」の1話演出くらいで、純粋に原作ものを映像化するのは初めてに近かった。どこまで原作を自分の中で消化できるかが重要でした。『ルックバック』絵描きの話だったので、ストーリーの気持ちも、藤本さんが何を描きたいかはわかった。あとは作品を自分事としてどう表現するか。原作を大きく改変してはいけないけれど、自分を作品に投影してもあまり原作を変えないでいられるビジョンがあった。でも、原作のままで良かったと言われるような映像化はしたくなかったので、原作にはない、映画にする意味を考えた」と述懐する。

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