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ジェイク・エーデルスタインが「トウキョウ・バイス」を生み出すまで――映像化経緯も語る【NY発コラム】

映画.com / 2024年8月18日 10時0分

 では、マイケル・マン監督をはじめとする製作チームは、どのように「トウキョウ・バイス: アメリカ人記者の警察回り体験記」のテレビシリーズ化を打診してきたのだろう。当初は、エルゴートが演じているジェイク役を「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフが演じる予定だった。

「当時、パラマウントのトップだったジョン・レッシャーが僕の原作を読んでくれました。彼は、脚本家を雇って製作しようとしていましたが、送られてきた2、3の脚本はかなりひどいものだったんです。そこで、僕は高校時代からの友人であるJ・T・ロジャースがニューヨークで脚本家をしていることを思い出しました。彼はとても優れた歴史ドラマを書いていたり、舞台設定が異国のドラマも書いていたので、そんな彼に脚本家として参加してもらいました。その脚本にジョン・レッシャーがOKを出し、主演する予定だったダニエル・ラドクリフも気に入ってくれていました。その時は、ライアン・ゴズリングも本作に興味を示していたことがありましたね。ライアン・ゴズリングが原作の映画のバージョンをやりたいと言い出したり、ダニエル・ラドクリフも乗り気でしたが、日本の製作会社と提携したのが失敗でした。彼らは資金援助もなく撤退し、契約はすべて破綻してしまったんです」

 2017年、J・T・ロジャースが舞台「オスロ」でトニー賞を受賞。これをきっかけに、再び歯車が動き出した。

「J・Tはハリウッドの人々から『次は何をやりたいんだ?』と聞かれるようになっていました。そこで『TOKYO VICE』シリーズを作りたいと答えてくれていたんです。J・Tは、ロンドンでたくさん芝居をやっていた渡辺謙をすでに知っていたので、彼の出演を説得してくれました。渡辺謙自身も、原作と脚本も気に入ってくれたと思います。そのほか、当時は2人の役者に注目していました。一人は『メイズ・ランナー』に出演していたディラン・オブライエン、そしてもうひとりがアンセル・エルゴート。この役は演技力だけではなく、日本語も学ばなければなりません。アンセルに『それができるのだろうか?』とも思いましたが、アンセルは本当に熱心でした。私は映像化に関しては多くの口出しをしませんでしたが、このキャスティングに関しては意見を聞かれました。『私はアンセルがそれほどの熱意を持っているのならば、彼を選ぶべきだ』と伝えたんです」

 なお、エルゴートのキャスティングは「ウエスト・サイド・ストーリー」に出演する以前の話だそう。

 「TOKYO VICE」は、現在2シーズンが制作されている。もし、もう1シーズンを描くとしたら、どのような内容になるのだろうか。

「シーズン3の可能性は充分にあると思います。でも、これだけは言っておきますが、もし始まるとしたら前シリーズから数年後の設定になるでしょう。たとえば、佐藤(=笠松将)が自分の組織を合法的なものにしようとする――つまり“合法的なビジネスマン”になる。ヤクザの未来が決して良くないことがわかっていますから」

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