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「みんなのうた」最多担当、伝説のアニメーション作家・南家こうじの功績を識者が熱くトーク 「ラムのラブソング」「スプーンおばさん」ダンスに見るリズム性

映画.com / 2024年8月19日 6時0分

 南家作品からの影響を問われたかねひさ氏は「南家さんの作品からは、作家自身の精神性・リズム・アニメーションの生命力の楽しさが伝わってくる。キャラクターが躍動する動きが音楽と映像が同期していたら気持ちがいいし楽しい。それは南家さんの作品をみて強く感じていたことだったので、僕もアニメーションを作る際に自分の中で影響を認めている部分ではあります」と根源的な部分での影響を語った。

 キャラクターだけにフォーカスするのではなく世界そのものをアニメーションで描き、そこに優しさが宿り、キャラクターだけではなく描かれている世界そのものにエネルギーが満ちていると南家作品を分析する田中氏に同意したかねひさ氏は、「例えば消しゴムを使ったり黒板を使ったり、あるいは切り紙をコラージュしたりと多様な技法を扱われていることに関連すると思うんですけど、“世界を作ること”に対するこだわりを感じてすごいなと思ってきました。でも決して技巧に凝って難解になっているのではなくて、人々の善意を信じるというか、根源的な善性みたいなものが南家さんの作品の中でTVアニメーションのオープニングタイトルからCMに至っても存在していて、それは南家さんの大きな魅力なのではないか」と語った。

 膨大な品を手がけている南家作品の中から好きな作品を問われたかねひさ氏は「あさおきたん」(82)、「僕は君の涙」(98)、「海へ来て」(84)の3作を挙げる。

 「まず『あさおきたん』は南家さんのコミカルで朗らかで天真爛漫な側面。子どもたちがリズミカルに描かれているのが、僕が南家作品に惹かれた側面だったので、それがより強く出ていると思います。構成も巧み。南家さんはリズムの作家だなと強く思わせられた作品ですごく好きです。『僕は君の涙』も今見てもやっぱりいいなと思ったんですけど、南家さんの作品の中でも、曲の構成を尊重しているものの、アニメーションの中の世界の構成がすごいなと」

 「初期のNHK『みんなのうた』の南家作品はコミカルに躍動するような作品が多かったと思うんですが、『海へ来て』はリリカルな側面が強く出た初期の作品として重要だなと思っています。女の子が飛び上がったりする動きの美しさ、手の細やかさ、足をつく時の美しさが南家さんのアニメーション作家としての魅力が強くあるなと思ったし、色鉛筆のタッチを取り入れながらセルアニメーションも使っている、多様な技法が見られるという意味でも、作家のいろんなものが詰まっている。今回上映された『愛がお仕事』もそういう部分を感じます」と“南家愛”を滲ませた。

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