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ドキュメンタリー界の巨匠フレデリック・ワイズマン監督が三つ星レストラン「トロワグロ」に魅了された理由

映画.com / 2024年8月24日 7時0分

 私がフランスの文化で関心があるのは、映画もある程度興味がありますが、とりわけ舞台やバレエです。パリだけでも250もの劇団があり、アメリカとは違って、フランスでは国が支援しています。バレエも同様で、おまけにフランスのバレエ団は世界中をツアーします。

 映画館もたくさんあり、パリではどんなジャンルも見られます。シネマテークフランセーズだけでなく、一般の映画館でも様々な時代や国々の作品の回顧上映をやっています。また、本屋もたくさん残っていて、みんなよく本を読んでいる印象があります。

 アメリカでも近年良いレストランが増えてきましたが、パリには昔から良いレストランが何百軒もあって、35~40ユーロぐらいでそこそこ美味しいものが食べられるのが素晴らしいですね。

――現オーナーシェフ、ミシェルさんをはじめ、トロワグロ一家の仕事への向き合い方や、思い出深いエピソードがありましたら教えてください。

 彼らは数世代にわたり長い間三つ星を保っている珍しいファミリーです。しかし、ステレオタイプのクリシェとは違って、優しくよく働き、知的で、怒鳴り合ったりはしない人たちです。家族が仲良く、一緒に働き、愛し合っています。

――この映画から従業員の方々も、トロワグロ一家の理念に共感して働いていることがわかりました。しかし、忙しい厨房などをはじめ、カメラが入るにあたり何らかの撮影のルールを求められましたか?

 なんでも好きなように撮って良いという許可をもらいました。厨房もダイニングもです。しかし、お客さんには許可を得る必要がありました。でも、皆さん快諾してくださって、何の問題もありませんでした。

――4時間という長さになりました。あなたの作品は長いものが多いですが、事前にこれくらいのボリュームになることは想定されているのですか。

 撮影前から、どのくらいの長さにするかなどは全く計画しません。どれだけのものが撮れるかもわかりませんから。しかし、撮影を始めて1週間くらいがたってから、レストラン3つのうちの2つを訪れたり、市場に誘われて行ったり、生産者のところに行くうちに、これは長い作品になるだろうという予感はありました。

――全体のフランスでの滞在はどれくらいでしたか? また撮影中はトロワグロのオーベルジュ(宿泊施設)に滞在されたのでしょうか?

 撮影は7週間です。さすがに、オーベルジュは宿泊料金が高く毎日泊まれませんので、トロワグロから車で3分間ぐらいの場所に滞在していました。でも、疲れた時など、撮影の途中でひと休みできる休憩用の部屋を用意してくれました。

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