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ホラーファン注目の新鋭!「映画検閲」プラノ・ベイリー=ボンド監督がデビュー作でホラーを選んだ理由

映画.com / 2024年8月30日 20時0分

 その二つの世界はいきなり転換するのではなく、少しずつ変わるように意識し、その世界を繋げているのが彼女の心のありようです。それを色彩、衣装、光の使い方などを含めて表現しました。例えば血塗られた教会のシーンの後、彼女は夢を見ます。その夢で使われた色は、実は彼女の仕事場に時折現れる、そんな仕掛けもあります。

 そして、当時こういった映画を作っていた監督の作品を見て研究し、また、ポール・グラハムやマーティン・パーなど、当時の英国を切り取っていた写真家の作品を参考に、美術や衣装担当、カメラマンとアイデアを持ち寄って、その世界観をどう再現するかを考えました。

 当初思ったよりお金がかかってしまいましたが、クリエイティブで乗り越えられたと思います。オフィスは倉庫にセットを組みました。そして英国の北方リーズやブラッドフォードのあたりでは、70年代から手付かずの家が残っており、内装もそのまま使えるような場所を見つけることができました。

――あなたが若い時代に衝撃を受けたホラー作品や監督を教えてください。

 ホラー映画の監督とは言えないと思いますが、まずはデビッド・リンチです。1番好きなのは「ブルーベルベット」で、自分にとって映画史上最も怖いキャラクターは、フランク・ブースです。そして、ギャスパー・ノエ。現代の映画作家として境界線をぶっちぎるような面白い仕事をしている監督だと思います。

 今回「ビデオ・ナスティ」を描くにあたって、ダリオ・アルジェントとルチオ・フルチからのインスピレーションも受けています。2人ともワイルドな映画作りをしていたし、ビジュアルもリッチ。カラフルでいろんなものが詰まっている“デリシャス”な画作りです。メアリー・ハロン監督の「アメリカン・サイコ」にも影響を与えられました。

 あとは、メロドラマになりますが、ダグラス・サーク監督ですね。それから、「呪われたジェシカ」(1971)というジョン・D・ハンコック監督の映画がとても好きです。女性主人公の周りで起きていることが現実か、自分がおかしくなっているのかわからない……そういう物語です。この映画は、おそらく直接的に「映画検閲」に影響を与えていますし、私が書いているもの全てに影響を与えている一作です。

 「映画検閲」は、9月6日から新宿シネマカリテほか全国公開。

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