音に注目。劇場で(鑑賞ではなく)体験すべき衝撃映画 オーディオ専門誌編集者が見た「シビル・ウォー アメリカ最後の日」
映画.com / 2024年9月7日 10時0分
その数回しかない戦闘シーンでは、鋭く抉るような銃声や爆発音が轟いた刹那に、効果的に「無音」場面が挿入され、強烈な音とのコントラスト効果を徹底的に追求され、緩急自在に観客の心を揺さぶる。この「コントラスト効果」と「緩急自在ぶり」が音の鋭さをより際立たせるという仕掛けだといってよい。
▼優れた映写と音響の映画館で心に刻む傑作である
「素晴らしい映画」とか「いい映画を観た」のような感想を抱く映画は、個人的には月に1本、つまり年間十数本はある。だが本作のような感情を大きく揺さぶる「凄い映画」は、そうは存在せず、せいぜい年数本しかない。そんな凄さの原動力が、内容の衝撃度であり、鮮明かつ豊富な色の映像美、そして音響の強烈さである。ということで、本作の魅力を味わい尽くすにには、できるだけ4Kプロジェクターと優れた音響を兼ね備えた映画館(具体的にいえば、IMAXスクリーンやドルビーシネマ、TOHOシネマズの轟音シアター、ミッドランドスクエア シネマの粋システムなど)に足を運び、「体験」していただきたい。
しばらくすれば本作も、他のすべての作品と同じように、スマホやタブレット、PCの画面や家庭用テレビで観られることになるはずだ。だがそうした端末では、本作でアレックス・ガーランド監督が描こうとしたキャラクターたちの過酷な体験が、あくまで他人事にしか感じられないだろう(そう、ウクライナやガザでの出来事と同様に)。
本原稿は猛暑が続く8月中旬に執筆した。2024年を約3分の1残しているが、筆者にとって、衝撃度の点でいえば、本作は間違いなく2024年のナンバーワンとなるはずだ。くどいようだが、本作は、劇場で(鑑賞ではなく)体験すべき映画である。甘口で心地良い映画ではなく、心が沸き立つようなエンターテインメント映画ではないが、2024年に生きる今、戦争が決して「他人事」でないことを心に刻む傑作である。(ツジキヨシ)
映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」は、10月4日から全国公開。
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