1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

【第81回ベネチア国際映画祭】北野武監督新作「Broken Rage」会場はやんやの喝采、笑い声で“たけしギャグ”健在証明 A・ロルバケル&JRもユニークな短編発表

映画.com / 2024年9月7日 13時15分

 また映画内でSNSのチャットが使われていることに対して北野監督は、「自分は最近よくチャットを見るようになって、チャットの影響が多くなった。この映画を撮ったとき、2時間を超えると思ったんですが、じつは1時間ちょっとしかなく、なんでこんなに短いのかと思ったら、今の人たちがチャットをやるその時間感覚に、自分も毒されているのだとわかり焦った。それでチャットを入れることでどうにか時間を伸ばしてごまかそうと思い、チャットシーンを入れることにしました」と答えて、再び会場の笑いをとった。

 さらに1時間という時間枠のなかで前半と後半に分けてトーンを変えたことに関して、「パロディ映画の場合、その基本になるものが有名であれば、すぐにパロディとして通用しますが、オリジナルのストーリーの場合、パロディになる部分を前半に流さなければならない。だが長いと飽きるし、短いとそんなにパロディにできないので、その辺の戦いでもありました。最初にみんなが飽きるような映像を見せた後、そのパロディを見せるという冒険をやったわけですが、それでもまだ短すぎた(笑)」と語った。

 実際は作品を観る限り、この1時間という尺が物語のフォーマットに最適な印象を受ける。

 短編といえばアウト・オブ・コンペティション枠で紹介されたアリーチェ・ロルバケルと写真家、JRによる21分の共同監督作「Un Urban Allegory」もユニークだった。ロルバケルの誘いで実現したコラボレーションは、ギリシアの哲学者、プラトンの洞窟の寓話(洞窟に住む、鎖で縛られた人々が、壁に映る影を実体だと思い込む)からインスパイアされたショートストーリー。これを現代のパリに当てはめ、猥雑な街、ダンス、洞窟のような場所、といったアイディアをもとに語る。

 キャストにはニナ・クードリ、そして「洞窟から出てきたようなイメージの演出家」をレオス・カラックスが演じる。ロルバケルによれば、これまでカラックスと面識はなかったが、このイメージにぴったり合う人として思いついたのが彼だったとか。物語の途中には、JRが2023年秋、オペラ・ガルニエ宮のファサードを用いておこなったインスタレーションの映像も使用され、現代人と洞窟の囚われ人とを重ね合わせた詩的な考察と言えるような作品を織り上げた。(佐藤久理子)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください