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【何がすごい?】“異才”ヨルゴス・ランティモス監督、「女王陛下のお気に入り」「哀れなるものたち」など代表作5選

映画.com / 2024年9月26日 11時30分

 ランティモス作品において重要な要素である“ルール”が、本作では、さらに先鋭化している。「なぜ、人々は疑うことなく、奇妙なルールに従っているのか?」「人間が動物に変身する仕組みは?」。そんな観客の疑問を寄せつけず、戸惑いや矛盾、理不尽をコミカルに描きながら、最後はひとりひとりが自分の解釈にたどり着くという不思議な後味も、ランティモス作品特有の大きな魅力だ。

 コリン・ファレルをはじめ、後に「女王陛下のお気に入り」で再タッグを組むレイチェル・ワイズ、オリビア・コールマンら豪華キャストが共演する、ランティモス監督初の英語作品。第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、第89回アカデミー賞では脚本賞にノミネートされた。

●「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」(17)

 郊外の豪邸で暮らす心臓外科医スティーブンは、美しい妻やかわいい子どもたちに囲まれ、順風満帆な人生を歩んでいるように見えた。しかし、謎の少年マーティンを自宅に招き入れたことをきっかけに、子どもたちが突然歩けなくなったり、目から血を流したりと、不可解な出来事が続発。実は、スティーブンとマーティンには知られざる関係性があった。聖なる鹿殺しの意味するところは――? スティーブンは極限の選択を迫られる。

 異分子によって崩壊する家族の日常という、「籠の中の乙女」に通じるテーマをアップグレード。少年が仕掛ける復讐劇を軸に、ミヒャエル・ハネケを想起させる不条理さ、スタンリー・キューブリックを継承するカメラワークなど、その作風により磨きがかかったランティモス監督“第一期”の集大成といえるサスペンススリラーだ。本作で第70回カンヌ国際映画祭の脚本賞に輝き、カンヌでの受賞は通算3回を数える。

 コリン・ファレルが「ロブスター」に続いて主演を務め、その妻役にはニコール・キッドマンを起用。マーティンを演じるバリー・コーガン(「ダンケルク」)が放つ不穏なオーラが、作品全体を包み込み、観客を“後味最悪”なクライマックスへと誘っていく。

●「女王陛下のお気に入り」(18)

 18世紀イングランドの王室を舞台に、女王の寵愛を奪い合うふたりの侍女の愛憎劇を紡いだ人間ドラマ。第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員グランプリを受賞した。第91回アカデミー賞でも作品賞を含む9部門10ノミネートを果たし、ランティモス監督自身も初めて、監督賞候補となった。3人の女性の視点が、ときに妖しく優雅に、ときに鋭く残酷に物語を磨き、まばゆい煌めきを観客に届けている。歴史劇の既成概念にとらわれず、これまで以上にセンシティブな描写にも挑んだ。

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