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中国映画市場“2024年・夏休み興行”急激な低迷の理由は? 「エイリアン ロムルス」はノーカット公開→大ヒットに【アジア映画コラム】

映画.com / 2024年10月10日 13時0分

中国映画市場“2024年・夏休み興行”急激な低迷の理由は? 「エイリアン ロムルス」はノーカット公開→大ヒットに【アジア映画コラム】

(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 北米と肩を並べるほどの産業規模となった中国映画市場。注目作が公開されるたび、驚天動地の興行収入をたたき出していますが、皆さんはその実態をしっかりと把握しているでしょうか? 中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」のフォロワー数280万人を有する映画ジャーナリスト・徐昊辰(じょ・こうしん)さんに、同市場の“リアル”、そしてアジア映画関連の話題を語ってもらいます!

 2023年における中国映画市場の夏休み(7月1日~8月31日)の累計興収は206億元(約4200億円)――この数字は、夏休みの興収記録を大幅に更新する結果となりました。各ジャンルの中国映画が軒並み大ヒットとなり、コロナ以降の映画業界に対して、誰もが楽観視していたんです。

 ところが、2024年の夏休み興収は、約4割減の116億元(約2366億円)。コロナ期間中の2020~2022年を除けば、2014年以来最も寂しい数字となっています。なぜここまで急激に低迷したのか。今回は、その理由を探っていきます。

 実は、23年度・夏休みの大盛況以降、中国映画市場は少し疲れ始めていました。23年・国慶節の大型連休期間もそうでしたが、例えば、今年の旧正月は日本映画「百円の恋」のリメイク作品「YOLO 百元の恋」が30億元級の興収となっていましたが、全体を見てみると低調気味。しかも、それ以降の中国映画市場は、ずっと不振が続いています。

 10月1日までの年間興収は、昨年の同時期と比べると、既に約23%減となっており、いつもは大盛況の映画祭でも、チケットの全体売り上げが落ちています。不振の理由は、中国国内でも色々な分析がなされていました。少々悪化している中国国内の景気の影響、コロナの影響でエンタメ新作が少ないなどが挙げられていましたが……個人的には、中国映画市場はピークを過ぎ、過渡期に入っているのではないかと考えています。

 このコラムでは、定期的に中国映画市場について書いていますが、過去の数字を見ると、やはり2010年代が「映画館に行きたい&映画を見たい」という人々の気持ちは強かったと言えるでしょう。当時、中国の若者にとっての映画は“最も楽しめるエンターテインメント”であり、コストもさほどかからなかったのです。

 しかし、時間が経つと、関心の度合いが少しずつ薄くなっていると感じていました。ちょうどその頃に、コロナに入り、世界中どこの映画市場も大きく影響を受け、さらには配信プラットフォームの登場によって、観客の“映画に対する気持ち”がガラッと大きく変わりました。長らく劇場に行けなかったこと、2022年の厳しいゼロコロナ政策が長期間で続いていましたから、2023年度の中国映画市場の好調ぶりは、ある意味の“反動”と言えます。上半期から夏休みまでは、全盛期を超える勢いを感じていました。ですが、その“衝動”は短期間のものであり、長くは続かなかったのです。

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