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身体が“動物化”していく奇病が発生する近未来を描いた「動物界」 仏新鋭トマ・カイエ監督インタビュー

映画.com / 2024年10月11日 16時0分

身体が“動物化”していく奇病が発生する近未来を描いた「動物界」 仏新鋭トマ・カイエ監督インタビュー

(C)2023 NORD-OUEST FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS.

 2023年度セザール賞で最多12部門ノミネートを果たし、フランスで観客動員100万人越えのスマッシュヒットを記録した話題作「動物界」が11月8日公開される。身体が“動物化”していく奇病が発生する近未来を描いた、トマ・カイエ監督のインタビューを映画.comが入手した。

 物語の舞台は、近未来。人類は原因不明の突然変異によって、徐々に身体が動物と化していくパンデミックに見舞われていた。“新生物”はその凶暴性ゆえに施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。しかしある日、移送中の事故によって、彼らは野に放たれる。フランソワは16歳の息子エミールとともにラナの行方を必死に探すが、次第にエミールの身体に変化が出始める……。人種差別、移民、ルッキズム、感染症など現代的なテーマを内包し、ファースト・シーンから観客を釘付けにする“突然変異”のアニマライズ・スリラーだ。

 最愛の家族を守り抜こうとするフランソワを演じるのは、ロマン・デュリス。名優イレーヌ・ジャコブの息子の新星ポール・キルシェが、少しずつ動物化していくエミールの心の叫びを、驚くべき繊細さで体現する。さらに、「アデル、ブルーは熱い色」(13)のアデル・エグザルコプロスら、フランス映画界を代表する豪華実力派が集結した。

 昨年、「落下の解剖学」とフランス版アカデミー賞の座を奪い合った新鋭カイエは、本作「動物界」のはじまりが、アラン・レネやフランソワ・オゾンなどのフランス映画界の重鎮たちを輩出した著名なパリの国立高等映像音響芸術学校ラ・フェミス(FEMIS)で開催された学生コンペだと明かす。自身もフェミスの出身であるトマは、母校の審査員として参加し、そこで学生のポリーヌ・ミュニエが執筆した本作のオリジナル脚本と出会った。監督は脚本との出会いを「ミュニエの脚本は人間と動物の融合を探求する内容で、その隠喩は当時私が取り組みたかった問題と交わっていると感じました」と振り返っている。監督は自らの考えをミュニエに伝え、一緒に仕事をしないかと提案し、共同執筆として推敲していった。

 さらに映画のアイデアについて、「私たちが育ったこの世界は、生命や生物多様性の崩壊が至る所で起きています。世界は衰えつつあるという実感が、創造の始まりです。でも生命が絶滅するとか、黙示録的な物語じゃなく、まったく逆の物語にしたら面白いんじゃないかと思ったんです。進化が加速して生物の多様性が過剰になり、社会に受け入れられず、そのありようが問われる。それが着想の出発点でした」と述懐。また「本作を遠い未来や単なる架空の物語にはしたくありませんでした。私は、私たちの日常生活にファンタジーの爆発を加えることにとてもこだわっています。現実と虚構の摩擦は、共感、変化、同様などの要素の貴重な源だと考えているからです」と、リアルな世界との繋がりが映画の重要なポイントであると語っている。

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