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「ジョーカー2」が「賛否両論」なのは、「誤解」が原因の1つにある!【コラム/細野真宏の試写室日記】

映画.com / 2024年10月16日 6時0分

 というのも、主役のホアキン・フェニックスは歌がとても上手いからです。

 「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」(2005年)という(カントリー・ミュージシャンの)ジョニー・キャッシュの伝記映画に主演したホアキン・フェニックスは吹替なしでジョニー・キャッシュの歌を見事に歌い上げていたのです。

 ジョニー・キャッシュの妻をリース・ウィザースプーンが演じて、アカデミー賞の前哨戦のゴールデングローブ賞でホアキン・フェニックスが「主演男優賞」、リース・ウィザースプーンが「主演女優賞」のW受賞に輝いたのです!

 ところが、アカデミー賞では、2人は当然「主演男優賞」「主演女優賞」にノミネートされましたが、受賞はリース・ウィザースプーンの「主演女優賞」だけでW受賞にはなりませんでした。

 いずれにしても、ホアキン・フェニックスと歌は相性が良いのです。

 そして、ジョーカーが出会う謎の女“リー” 役としてレディー・ガガが抜擢されています。

 ホアキン・フェニックスもレディー・ガガも歌は上手いので、難なく名作に昇華されても良いはずでした。

 ところが、この「ミュージカル」のような場面が本作の混乱を生んだのです。

 前作では圧倒的なリアリティーが作品のクオリティーを高めていたのですが、「ミュージカル」のような場面は妄想も含まれてしまうため、このシーンが多く入ると、それだけ混乱を生むことになるわけです。

 具体的には、一体どのシーンが現実で、どのシーンが妄想の世界なのかは、かなり考察をしないと見抜けないようになっているのです。

 このようなトリック的な作風であることが、ほぼ伝わっていなく、前作のような目線で見ると、不満が多く出ることになるわけです。

 ここに、本作が「賛否両論」になっている根本があるのです。

 つまり、「ジョーカー2」は、前作とは異なり、妄想も入り乱れた考察系の作品となっているのです!

 ネタバレは良いとは思わないので、ぼやかしながら、注目すべき箇所を書いてみます。

 実は、本作でトッド・フィリップス監督は、(特にクリストファー・ノーラン監督作の)過去作とのリンクを巧みに仕組んでいるのです。

 例えば、終盤に大掛かりなシーンがありますが、そのシーンのハービー検事の姿に注目しておくと“あること”に気付くはずです。

 また、本作のキャッチコピーは【ジョーカーになった男のその後――ラストに備えよ】と、ラストの展開が重要であることを示唆しています。

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