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【インタビュー】熊切和嘉監督×正源司陽子「ゼンブ・オブ・トーキョー」撮影で垣間見た東京の表情

映画.com / 2024年10月24日 10時0分

 熊切「日向坂46の映画ということだけが決まっていて、当初の内容からは二転三転して今の形に着地したわけですが、演技経験のない子たちで撮るというのは面白そうだと感じました。内容がどんどん変わっていくなかで、地方から来た女子高生たちが東京でちょっとした冒険をするというプロットが出来上がっていったんです」

■正源司陽子を主演に据えた理由

 脚本家とプロデューサー陣がキャスト11人にインタビューする際、熊切監督は別作品の撮影で参加できなかったそうだが、「その時の映像を見て、正源司さんがすごく映画向きだなと感じたんです。それで読み合わせの時に池園中心で読んでもらったら、しっくりくるものがあったので、ぜひ彼女を主役にしたいなと思いました」と明かす。

 その“しっくりくるもの”が何なのか聞いてみると、「難しいのですが、本当に“映画的”としか言えないんです。演じてもらった池園って、良い意味で少年っぽさがあるのですが、正源司さんは面構えがいい(笑)。その面構えが映画的だと感じさせてくれるんです。あとは佇まいに芯があるので、映画で観たいと感じさせてくれたんです」と語ってくれた。

 朗らかな熊切監督の横で聞き入っていた正源司にとっては、銀幕デビュー作での初主演。熊切監督の丁寧な演出に謝意を示す。

 正源司「台本上で『これ、どちら側の表現なんだろう?』と迷ってしまうことが多かったんです。そんな時に、理由も添えて説明してくださったので、自分もそれに合わせて理解を含めていくことができてありがたかったです」

■東京を舞台にすると、思った以上に記録性がある

 本編を観るにつけ、キャストはもちろんスタッフの多くが、撮影を通してもう一度修学旅行を楽しんでいたのではないか? と感じさせるほどに、作り手ひとりひとりの思いが同じ方向を指し示している。ふたりは、どのエリアを撮影しているときに最も気持ちが上がったのだろうか。

 熊切「僕はこれまで、あまり東京で撮影をしてこなかったんです。ましてや生活拠点として東京を離れてみると、改めて東京の街中が魅力的であることに気づかされるんです。初日に撮った浅草でも、イメージがどんどん膨らんでいって『正源司さん、あの外国の方に写真撮ってって話しかけてみて』と無茶ぶりしてみたりして。すごく楽しかったです。

 また、東京を舞台にした映画って、思った以上に記録性があるなと感じました。市川準監督の作品が好きなのですが、『ざわざわ下北沢』という作品があって、昔の下北沢が映像としてそのまま残っている。今回久しぶりに下北沢に行きましたけど、もう全然違う街になっているじゃないですか。迷子になりましたよ。そういう面白さもありますよね」

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