オリベイラ作品を手がけたプロデューサー、新作「英国人の手紙」撮影は「巨匠たちとの仕事を思い出す」【第37回東京国際映画祭】
映画.com / 2024年10月30日 15時0分
そこに「僕から付け加えるならば、1975年にアンゴラが独立を勝ち取ったということがあります」と語ったブランコ。「それまでアンゴラはポルトガル領だったんですが、それまでにアンゴラに住んでいたおよそ60~70万人のポルトガル人が国を出ていったんです。だから自分たちがかつて住んでいたアンゴラに郷愁の念、ノスタルジーがありました。そうしたことをこの映画で描いているんです。そしてもうひとつ大きな焦点となっているのは、遊牧民たちの生活です。かれこれ何十年かにわたって内紛が繰り広げられていたんですが、そうした中でも遊牧民たちは従来からの生活を続けていて。ルイ・ドゥアルテさん自身も砂漠での生活に魅入られていたわけです。それも注目ポイントでした」。
本作は砂漠をとらえた映像が非常に美しく描き出されている。が、そんな撮影についてジョアンは「おもしろかったのが、アンゴラの役者との共演というのはポルトガルでは珍しいことなんです。アンゴラの方たちと一緒に映画をつくるという体験はおもしろかった。ちなみに言うと、映画に出てくる部族はみんな本物なんですよ」と付け加えた。
そして最後にブランコが「これは僕にとってもパーソナルな作品。自分が90年代に(オリべイラら)巨匠たちと撮った作品を思い出しました。それはとても自由な映画づくりで、プランもなく、撮影日数がどれくらいになるのか、行きつく先がどこになるのか分からないままに撮影を行いました。(撮影素材は)カメラにおさめていても、最終的に編集でカットして、本編におさまりきらないカットもたくさんあったんです。そういう意味で、今撮られている大半の映画とは違う撮り方をしました」とコメント。さらにグラシアーノ監督が「僕には3つの夢がありました。まずはプロデューサーのパウロと一緒に映画をつくること。ふたたびアンゴラを舞台にした映画を撮ること。そして日本に来ること。今回、すべてを叶えることができたのでお礼を言わせてください」と誇らしげな顔を見せた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。
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