インディペンデント系のクリエイター陣が長編アニメーションにステップアップ! アニメ界の新しい潮流語る【第37回東京国際映画祭】
映画.com / 2024年11月2日 13時15分
「数分間のエールを」のぽぷりか監督の場合は、大学時代に知り合ったおはじき(副監督)、まごつき(アートディレクター/キャラクターデザイン)と活動を共にしている。「映像をつくってみたいなと漠然と思ったのが、美大の受験の時でした。それで初めてつくった映像が、おはじきとふたりでつくったアニメーション作品なので。最初からふたりとやっているというのが近いかもしれないです」と成り立ちを説明したぽぷりかは、「自分が高校生の時にニコニコ動画というサービスが、おもしろい動画サイトだということで話題になっていたんです。それこそ初音ミクとかが出てきた最初の時代で。高校生時代の、美大を目指す直前まで、自分が何になるか分からない、自分はこの先どう生きていけばいいのか分からないなと思って。そのときにニコニコ動画で観たミュージックビデオに心動かされて。こういうのをつくってみたいなと思ったのが最初のきっかけですね」。
くしくも制作に使用されるアプリの進化によって個人レベルでもアニメーションをつくりやすくなった。さらにYouTubeやニコニコ動画といった発表の場が登場したことによる環境面の変化により、インディペンデントのアニメ作家が活動しやすい土壌が生み出された。そこに短編アニメ映像を投稿し、それが注目されることで長編作品へとステップアップを果たす。だが長尺の作品をつくるにあたっては、外部スタッフとの連携を図り、制作チームの規模を拡大する必要性が出てくる。
安田監督が「自分の場合はかなり少人数でつくることができた。かつ集まったメンバーも、もともと自分の作品を好いて来てくれる方たちなので、自分のやりたいことや、やりたい表現を大切にしてくれた。その上で、自分ひとりで全部できるわけではなく、取捨選択をしていかないといけない。そこで彼らの裁量に任せてお願いするということもかなりありました。全部で950カットくらいの作品ですが、わりと高いクオリティでつくれたんじゃないか」と自負をのぞかせる。
さらに塚原監督が「僕も自分で売り込みをして、自分で声を入れて、撮影も半分以上が自分で手を入れて。編集も自分でやっているので、そこを押さえている限り、今までと大まかに違ったことをしている気がしない。ただ安田さんと同じように、チームがこなれてくると、この人はこれが得意だから、ということで任せられるようになる。そうしたら今度は別のことに頭を使えるようになって、非常に楽になりました」と続けると、「本当にそうなんですよ!」と同調した安田監督。「制作の時も自分以外の人がいるということで環境は変わりました。今は長編もそうですけど、いろんな体制で制作をしていますが、ひとりでつくるときには使わなかった脳みその筋肉が間違いなく増えていて。それをすることでよりたくさんの作品をつくることができるようになった。今はより幸せになったと胸を張って言えます」としみじみ付け加えた。
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