綾瀬はるか、読み終えた脚本の最後に書き残したメッセージの真意【「ルート29」インタビュー】
映画.com / 2024年11月3日 18時0分
感想を書き込んでしまうほどの思いを抱いた脚本を執筆した森井監督は、綾瀬と同年生まれ。第37回東京国際映画祭のガラ・セレクションに出品されて登壇した舞台挨拶では、森井監督について「だいたい監督は自分よりも年上の方が多いのですが、世代が同じなので、より一緒に作っているという安心感がありました」と語っていた。綾瀬が森井監督に信頼を置くのには、世代が同じだからというだけではない理由がある。
「私は森井監督がかけてくださる“言葉”がすごく好きで、言われた言葉はメモをとって、忘れないようにしようと思いました。たとえば『のり子の中には“宇宙”があって、そのおかげで心が満たされている豊かな人なんです』というお話や、演出してくださる時の『心に隙間がある感じでお願いします』という表現も印象に残っています。
監督の中で撮りたい画がしっかりあって、テストをせずにすぐに本番なのも新鮮でしたね。いざカメラが回る時にも『自分が感じたら始めてください』と、まるでドキュメンタリーのようにその時に生まれた生々しさを大切にされているというか、私たちの心の機微やひだを大事にしてくださる気持ちが嬉しかったですね。だから私も『ここでセリフを言おう』と頭で考えるのではなく、言葉を発するタイミングすらも“宇宙”に委ねたいと思いながら演じていました」
テストをせずにすぐ本番…という現場だったが、スタッフたちからはピリピリとは真逆の、常に優しい空気が流れていたという。
「スタッフさんがみんな優しくて、フワーっとしている感じでした。撮影中は、物語同様に優しい時間がずっと流れていて、いらいらしたり急かせかしたりする瞬間がなかったです。一菜ちゃんとスタッフさんの掛け合いを見ていても、“親戚のおじさんたちが夏休みに集まっている時間”に見えるほど(笑)、穏やかな時間を過ごしていました。みんなそれぞれ自分の“宇宙”を持って集まっている現場でしたね」
共演した大沢と、いかに対峙したかも聞かねばならない。森井監督が「こちらあみ子」に続いて起用したのにも、それだけの理由があるのだと本編を観ればうなずかされる。
「第一印象は『あ、あみ子だ! 本物がいる!』(笑)。最初は目を合わせても、下を向いてしまうぐらいシャイで恥ずかしがり屋さんなところがあり、それはそれでその姿が愛おしかったんですが、気づいたらちょっとずつ、ちょっとずつ近くに来てくれた感じがありました。雨に濡れるシーンの撮影の後、『大丈夫? 風邪ひいちゃダメだから』とふいに大人っぽいことを言うなど優しくて気遣いのできる人。『かっこいい!』と思わずキュンとしてしまう瞬間がたくさんありました。
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