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【インタビュー】カメラとAIに常時モニタリングされる町 「コンコルディア」ショーランナーが衝撃の舞台設定を語る

映画.com / 2024年11月7日 17時0分

 システムや社会がどんなに素晴らしくデザインされていたとしても、邪悪なものを完全にシャットアウトすることは不可能なんです。本作でもある事件が起き、物語にスリラー的な側面が加わります。ですが、この事件は、コンコルディア自体がいけないということではなく、過去に起きた事件に関わっているという部分を強調して描こうとしました。

――近未来を描く作品では、「実際にこんな町ができたら、世界はどうなる? 生活はどうなる?」というシミュレーションの解像度も重要かと思います。特に、コンコルディアに関しては、世界を席巻しつつあるAIをテーマにしており、真に迫ったリアリティがあります。「コンコルディア」でできることや、そのレベル感をどのように設定したのか、教えてください。

 脚本を書いている段階で、ひとつ気付いたことがありました。脚本を1本書き上げ改稿すると、2カ月ほどが経っていて、その間に技術が進歩してしまっていたりする。だから、私たちが脚本に書く技術というのは、絶対にいまある技術には追いつけないんだと。コンコルディアは、未来というよりも、2024年に作られたような、いまある技術で実現可能な町。コンコルディアで使われている技術の一部は、いまの世界で進められている、叶えられている、我々がアクセスできるレベルのテクノロジーを想定しました。

 個人的に、未来の世界を描くときに多いケースだなと思っているのが、過去に存在していた場所や町を描かずに、全く新しい社会を見せること。ですが本作では、それまでに作られた社会や建築物に背を向けることなく、再構築するような。新しいものと古いものを共存させ、コミュニティのなかで見せることに、こだわりました。つまり、ファンタジーにはせず、今日アクセスできるテクノロジーのレベルで、私たちが住むことが叶うようなコミュニティにしたんです。

――住民たちが「カメラやAIによるモニタリングを受け入れるというレベルを超え、むしろ歓迎している」という点も斬新です。本編の冒頭に必ず、住民たちがコンコルディアの魅力を語る、町のPRムービー風映像が挿入されることも特徴的ですが、どのような狙いをもって、この描写をされたのでしょうか。

 そもそも私たちは常に、カメラで撮影されているんです。ホテルでチェックインする時も、駅を歩いている時も。そして私たちもそれに慣れ切ってしまっている。コンコルディアの場合は、映像を常に見ている人は誰もいないことが、カギなんです。カメラは撮影をしているんだけれど、何かが起きた時のみアラームが鳴って、誰かがチェックしに行くというシステム。そして、スマホやネットの履歴にはアクセスできないようになっている。だから皮肉にも、もしかしたらプライバシーに関しては、私たちが暮らしている世界より、コンコルディアの方が安全かもしれません。

 最初の住民たちのインタビュー映像ですが、本編はあまり説明過多にしたくなかったんです。町の魅力をさまざまな方に語ってもらうシーンを入れることで、映像で説明し過ぎることなく、視聴者が町を目撃できるようにしました。

 あのシークエンスで、僕が面白いなと思ったのは、皆が、自分がコミュニティの一員だと意識していることです。最初にコミュニティの大切さをお伝えしましたが……メリットがたくさんあるコンコルディアでは、住民たち皆が力を合わせて事件を解決しよういう考え方をもっているんです。視聴者に対しては、システムはどこかうまくいかないけれど、何かが起きた時に誠実に、正直に修復に当たれば、信頼も生まれるということが伝われば良いなと思いました。

 Huluオリジナル「コンコルディア Concordia」(全6話)は、11月8日からHuluで独占配信開始。毎週金曜に、新エピソードが更新される。

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