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「哀れなるものたち」「憐れみの3章」ヨルゴス・ランティモス作品に張り巡らされた視覚の罠【湯山玲子ファッションコラム】

映画.com / 2024年11月9日 11時0分

 画面の色彩設計にも抜群のセンスを見せてくれるのが、ランティモス監督であり、最新作の「憐れみの3章」という作品において、夫と娘を捨て、カルト宗教を盲信する女性の出で立ちは以下の通り。常に彼女が着ているのは、光沢のある生地で作られたビビッドなブラウンのパンツスーツで、移動手段の車はシャイニーな深紫なのだ。

 茶色と紫色。一番的にはダークで落ち着いた組み合わせなのだが、これ、ルネ・マグリットなどのシュールレアリズム作家も好んだ配色で、エキセントリックで暴力的な女性と、ドリフトを多用し走りを見せる車とのペアリングをこのカラーコーディネイトで見せられると、何ともアンバランスで奇怪なムードが立ちこめてしまう。

 古くから批評という行為にさらされてきた美術の世界では、その絵の題材に隠された、暗喩やシンボルを読み解いていくことが評価軸になっているが、そういう意味で、ヨルゴス・ランティモス作品を堪能するためには、意識的にも、無意識時にも張り巡らされた視覚の罠を見つけ出していく必要がありそうだ。

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