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役所広司がパリの現代日本映画祭キノタヨで功労賞、フランスとフランス映画への思い語る 観客賞は「あんのこと」

映画.com / 2024年12月18日 14時0分

役所広司がパリの現代日本映画祭キノタヨで功労賞、フランスとフランス映画への思い語る 観客賞は「あんのこと」

「赤とんぼ」ティーチイン (C)Kuriko Sato

 今年18回目を迎えたパリの現代日本映画祭キノタヨが14日間にわたり開催され、観客の投票で選ばれる観客賞(ソレイユ・ドール)を、入江悠監督の「あんのこと」が受賞した。すでに帰国していた入江監督はビデオメッセージで感謝を述べたあと、「この映画を通して日本とフランスが繋がっていることをとても嬉しく思います。また映画を作ってキノタヨに戻れるように頑張りますので、再びパリでお会いできることを願っています」と挨拶した。

 一方、エリザベル・ルナール監督(「Tokyo Melody」)ら4人の審査員メンバーが全員一致で選んだというグランプリは、「外見で判断されることに疑問を投げかけながら、キャラクターに対する繊細さと奥ゆかしさ、優しさが感じられると共に、大衆演劇に関するドキュメンタリーのようなアプローチも魅力的だった」として、藤田直哉監督の「瞼の転校生」に、審査員賞は「ストーリーテリングの独創性、時間の扱い方のユニークさとともに、東洋と西洋を鏡で写したような現代的な遊びがある」と、冨永昌敬監督の「白鍵と黒鍵の間に」にわたった。藤田監督はビデオメッセージで、冨永監督は文書でそれぞれ受賞に関するコメントを以下のように披露した。

 藤田「グランプリを頂けたことをとても嬉しく思います。この映画祭に参加して、パリの素敵な街で、みなさんの温かい反応のなか上映することができ、すごく有益な感想をもらえ、これから自分が映画を作っていくなかで起点となる機会を与えてもらった気がしています(略)」

 冨永「受賞を心から嬉しく思います。芸術とは作家の自意識と生活と時間のあいだで、その3つを削るようにして生み出されるものです。池松壮亮が演じたピアニストは芸術家であり、労働者であり、時間の有限性の体現者でした。この一晩に偽装された3年間の物語を世界中の若い芸術家のみなさんに捧げます」

 今年のコンペティションは計7本。上記受賞作の他に、曽利文彦監督の「八犬伝」、森達也監督が1923年9月、関東大震災直後に起きた村人による虐殺事件を題材にした「福田村事件」、石橋義正監督のファンタジック・スリラー「唄う六人の女」、アンドレアス・ハルトマンと森あらた監督が、日本でさまざまな理由により蒸発を試みる人々を追ったドキュメンタリー「蒸発」と、多彩な作品が揃った。さらにオープニングに空音央監督の「HAPPYEND」、クロージングには黒柳徹子の自伝的小説を映画化し、今年のアヌシー国際アニメーション映画祭でポール・グリモー(特別)賞を受賞した八鋤新之介監督の「窓ぎわのトットちゃん」、コンペ外作品として、坂本龍一がらみの「Ryuichi Sakamoto | Opus」「トーキョー・メロディー」、今村昌平1967年の作品「人間蒸発」、アニメ作品「BLUE GIANT」、五十嵐耕平監督の「Super Happy Forever」、レイコ・クルック西岡が自身の戦時中の思い出を綴った原作を朗読したイベントの映像作品「赤とんぼ」、また今回のハイライトである役所広司特集として計5本、「PERFECT DAYS」「孤狼の血」「うなぎ」「Shall We ダンス?」「CURE」が上映される盛り沢山な内容となった。

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